1度読んだ本を、しかも小説をもう一度手に取って読むことはあるんだろうか?
むしろそれを読みかけて結局読まないままでいる人の方が多いのでは無いか。当方そんな感じである。
おすすめサイト
■世にも奇妙な物語の放映作品一覧 - Wikipedia
小説選びで個人的に参考にしていたのが世にも奇妙な物語だ。
こういう変わった話が好きなので、こんな話だったら読めるだろうということでWikiを参考に良く探していた(5chの奇妙な話系のコピペとかをよく読んでいた)。実際ここで紹介するものの何割かは原作になった作品だ。是非読んでほしい。
■書き出し小説大賞
後述するが、一行小説のような短くて少しおかしい文章が集められている。書き出しとなるとほぼ出オチであるため、本文に入ると消化試合のような感じになるだろう。ただ、この書き出しのテンションを一定に保って本文が書けるならその小説を読んでみたい。
■その本、図書館にあります。
お気に入りの図書館を登録しておくとAmazonで書籍を調べる際に自動でその書籍が登録した図書館にあるかどうかを表示してくれる。
Twitter小説
Twitter上でも面白い創作を挙げてる人がいて、結構惹き込まれるものも多い。
小説『気がついたらハムスターになっていたけれども、回し車があんがい楽しい』 pic.twitter.com/FUxQhlKVO7
— 後谷戸 (@ushiroyato) May 23, 2021
「ひっ…!」
— 方丈 海@毎日投稿 140字小説 (@HOJO_Kai) 2022年4月23日
私は恐怖した。
捨てたはずのフランス人形が、今日も玄関前に戻ってきていたからだ。
私は監視カメラを設置して真相を確かめる事にした。
もう1度捨てると、やっぱり人形は戻ってきた。
映像を確認すると、人形を戻していたのは夫だった。
私は恐怖した。
夫は、もっと前に捨てたのに。
また、氏田氏の「54文字の物語」は一時ブームとなり、書籍化もされた。ショートショートよりも短い物語で、こんな導入の物語があったら多分読み進めてしまう。
「磁石のような恋」#インスタ小説 #54字の物語 pic.twitter.com/eUO3oPfPKm
— 氏田雄介 (@ujiqn) 2017年12月29日
小説
昔『TRICK』の小説をよく読んでいたが、ドラマでも面白いが小説も最高に面白かった。ただ小説内ではトリックの内容がよくわからないものもあるので、やはりドラマ版を小説にしたものよりドラマそのものを見るのが一番。
1.星 新一 『ボッコちゃん』
一番初めに小説に手を出した作品と言っても過言ではない。絵のない絵本って感じで、ショートショートというだけあって短くてオチも良い。世にも奇妙な物語の原作にも何度かなっている星新一氏の作品はどれも短くて読みやすいので他の作品もオススメ。
2.奥田 英朗『空中ブランコ』
1作目『イン・ザ・プール』から3作目『町内選挙』までの内の2作目。これが一番面白くて読みやすい。アニメ化もされている。このシリーズの伊良部一郎という人物のキャラがとても良い。精神科医だが、そんなこんなで患者の病気が治るが、独断と偏見で、結局心の病を治すのは薬ではなく現実の出来事だと思う。
3.中原昌也『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』
中原昌也の小説は、夜中むしゃくしゃした気分の時、不貞腐れた時に読むのが調度良い。深夜の酔っぱらった勢い、はたまた若気の至りで書き散らしたような悪質な文章が続く。北野映画並みの暴力性を孕んでいて、それ以上にウィットに富んでいて面白いが、悪夢が途中で気付かないうちに知らない展開に広がっていることがあるのと同じで、展開が読めずにページを行ったり来たりすることもしばしば。有害図書。
☟下記は上記のリミックス版で、オリジナルのストーリーも載っているので初めて買うにはこちらの方が良いかもしれない。小説をリミックスしてリライトするっていう試みも面白いがリミックス陣営が作家と小説を普段書かない音楽家の両方なのも興味深い。
オリジナルとリミックスが1冊にまとまっていて、元の短編とリミックス(リライトしたもの)を比較して読むことが出来る。
リミックス担当した小説家陣の作品をほぼ知らずに読み進めたが、それぞれがその人らしいユーモラスなアンサーを出していた感じがして良かった。また、ミュージシャン陣のリミックスが面白かった。
町田康のリミックスは原作を崩さずに解釈していてオリジナルよりわかりやすくなっていた。また、曽我部恵一のリミックスは原作にストーリー性を加え、新たな短編作品のように楽しめた。OMSBのリミックスも同じく新たな短編として起と結を逆さにしたような形で締め括られていて面白かった。やくしまるえつこの日記のリミックスはカオスなものになっていて面白い。
小説を初めて書いたというOMSBの作品が結構ツボだった。
4.惑星ソラリスのラストの、びしょびしょの実家でびしょびしょの父親と抱き合うびしょびしょの主人公『たまたま座ったところに“すべて”があり、それが直腸に入ってしまった。 』
夜中眠れない時に頭の中でふと思い浮かんでくる妄想をそのまま小説にしたような雰囲気。怪文書を読みたい気分の時は最高。小説にありがちな、小難しい情景描写や複雑な人間模様などはなく、ただカオスな非現実的な世界が広がっている。おそらく実写化不可能な、文章でしか出せない複雑さ。
「日の出通り商店街イキイキデー」が好きで買ったが、これもなかなか良い。さすが中島らも。内容的にはアダルティな感じの話が多いように思った。
6.乙一『ZOO』
なかなかグロテスクな描写も含んでいて読む人を選ぶ作品化もしれないが、ネタバレにならない話で言うと、この小説のアンドロイドのストーリーが学校の現代文の模試にでてきて「どっかで読んだことあるな」と思って衝撃的だった。
7.吉田 悠軌『一行怪談』
怪談とあるが、怪談の枠を超えたシュールな世界観もあり、一行一行が悪夢の夢日記のように続いていく。
なかなか引き込まれる内容で、この一行の書き出しで始まる物語の続きを読みたいと思っても物語はそこで完結してしまう、という感じだった。
一行でどれだけ不気味に、ゾッとできるかという大喜利みたく、また読み返すかもしれない内容で何とも言えない余韻がある。
8.雨穴『変な家』
部屋の間取りを発端にここまでのストーリーに発展するというのは斬新。不動産屋の窓ガラスに貼り付けられている物件情報を眺めていてもここまでの発想には至らない。
結果オーライの終わりをもたらす。が、よくある映画のラスト5分で全てが変わるような指摘によって後味の悪い終わりに。
9.雨穴『変な絵』
ここまで余すことなく伏線が回収されるのは近年ではODD TAXIくらいだったが、物語としても解説絵や図が多用されていてわかりやすい。
ドラマのTRICKが好きだったが、犯行をごまかすためのトリックや絵についての心理的な側面・解釈だったり、謎解き要素があるのも面白い。全体的にはシリアスな雰囲気のでどちらかと言うとケイゾクっぽいのか?
10.新庄耕『狭小邸宅』
普通に営業のノウハウ本のようなチップスや不動産事情を教えてくれる小説。かつ若い働き盛りの時期の仕事とその周辺の葛藤。心情と変化、その描写がリアルで読み始めの頃は読んでて辛かった。
以上。