Patchwork Dream

随時、記事の加筆・修正または再掲載します。

放っておけないおすすめ増田文学10選①

増田とは、はてなアノニマスダイアリー(はてな匿名ダイアリー)及びそのユーザーの通称だ。

匿名なのをいいことに、多くの人が書き込み、多くの人がコメントをし、閲覧する。
ジャンルとしては何でもありの日記帳のようなもので、エッセイから創作までを包括する文学的な捉え方ができることから、これらを「増田文学」としてジャンル付け、愉しむ傾向がある。

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当方、増田の記事は参考文献のように引用のニュアンスで使うことが多いが、普通に読み物として面白いので、引用で消化できなかった良好な文章をセレクトしておく個人的なブックマーク的な記事だと思って欲しい。

1.キッチンシンクを皿用スポンジで洗うのが汚いという感情の成立と国鉄型特急の不便な手洗い場の関係について

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まずタイトルからして新書として発売されていてもおかしくない雰囲気だし、入りだから惹き込まれる。プロの調理場ではシンクに水を貼って野菜を切ることがあるのは意外。昔アルバイトで皿洗い(自動洗浄きでは無い)をやったが、シンク用と皿用を分けていた。なぜ、ここに投稿したのか?しっかりとした文章で中身もあるので普通にコラムとしてネット記事に載せられそうな雰囲気。そして読みやすい。

2.おばあちゃんの思い出話と乳首責めの相性

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タイトルの通りの内容で驚く。冒頭は自身の亡くなったおばあちゃんの話をたんたんと綴るエッセイのような印象で、タイトルの割にシリアスな話かと騙されかけた。男性の「気持ちいいのとしんみりするので感情がくちゃくちゃになる。」という言葉がこの文章の感想なのかもしれない。「しんみり乳首」というパワーワード。このバカリズムのような、真顔でボケをかます(本人はそのつもりは無いのかもしれない)スタイルが良い。深爪さんのエッセイのような下ネタとユーモアが入り交じった増田。

3.「男性はぶつかってくる」は本当か

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研究論文のようにある程度有効的な数値を取っている。知人男性を用いて検証を行っているが、結果的には「男性は早い段階で避けており、比較的女性の方が避けていない(ぶつかってきている)」ようだ。この件に対しても仮説が立てられており、論文さながらの読み応えである。歩きスマホなどの注視による不注意かと思えば、スマホを持たない場合でも起こり得ることから、そもそも避ける気がないという点が有力なようだ。仮説から更なる追調査が出来そう。論文なら引用されている。

4.プロ奢ラレヤー、プロ無職、落合陽一、ホリエモン、イケダハヤト、家入なんとかに群がる全てのクズどもに捧ぐ

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エレファントカシマシの「ガストロンジャー」を彷彿とさせる勢いで、太宰治の『二十世紀旗手』のような文章。でも結構「もっと力強い生活をこの手に」のような「化けの皮剥がしにいこうぜおいさあ勝ちにいこうぜ」のような、前を向いて生きろと言うエールが感じ取れる。勢いだけに思えれば結構詳細に述べられていて文章として良くできている。長文なのに凄い。

5.5年いた富士通を退職した理由

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よくネット上のスラングとしてJTC (Japanese Traditional Company)と揶揄される、日本の伝統的大企業を示す言葉があるが、まさにそれである。大学の研究室または自宅の部屋よりも粗悪な開発環境と言うのが衝撃。内部告発系の文章だろうが、割と衝撃が大きい。寝ぼけているところを平手打ちされるような文章。

6.映画館で働いているんだが、特典商法に疲れた

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立て続けに業界の裏を垣間見れるような増田記事だが、AKB商法のような、映画作品そのものではなくそこに付随する特典に群がるファン層が厄介だという話だ。その厄介の背景には、映画作品ごとに特典の配布期間や配布対象が異なるなどといった、ある種神経を使う特典配布対応のしんどさが挙げられている。昔派遣で軽作業の梱包をやったことがあるが、マジで1日が長く感じる。頭使わなくてよいのは楽だが、本増田ではそれぞれ対応が違うという神経を使いながら、ライン作業のような定型業務を日々繰り返し、果てには来場客やそのSNSで「特典目当てで~」から想起される厄介なトラブルが生じている。劇場スタッフ的には報われない面倒臭さなんだと思う。

7.タイミー疲れたよ日記

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切実すぎる内容。実際に当方もタイミーを使って転職までの間に軽い日雇いの倉庫作業をしていたが、こういった「自分が正しい、賢い」とお山の大将でありたがる現象は度々見受けられた。下記が金言である。

なるほど。つまりこれは少数の社員と実行部隊のパートが大勢いる職場でよくある権力闘争なのだ。

マニュアル化しにくい作業の手順や優先順位を「旗」にした陣取り合戦が行われているのではないだろうか。

そういえば、昼間の内も社員とパートでラベルを貼る位置など、教える内容に細々とした違いがあった。

おそらく、マニュアルで決まっていない部分なのだろう。そして彼らは「そのルールは決まっていない」のではなく「自分のやり方が正しい」と言っていた。

マニュアルの余白で繰り広げられる権力闘争。

"マニュアルの余白で繰り広げられる権力闘争"は、先輩社員やらエリアマネージャーやらが、自分が正しく優秀であるという部分をひけらかす道具として立場の低いバイトやパートに対してこのようなふるまいをして悦に入るということがある。実際、こういうアルバイトでは作業自体は何とも思わないまでも、人間関係の面倒臭さが相当応えるのがこういった主婦やヤバいオッサンが参加するような倉庫作業。
アルバイトでましてや普通のアルバイト社員であっても、派遣に対しては結構部外者的扱いをしたり、特異な存在として「いくらぐらい貰えるの?」と訊かれることもザラ。一番良いバイトは、大きい百貨店で行われる短期派遣である。給料も待遇も楽で、周りもいろんな派遣先から来た人が多く、やりやすい。でも少なからず代理戦争まがいの争いが派遣同士で起こることも承知の覚悟で挑まなくてはいけない。

8.同人活動と結婚(既婚者からの意見)

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もともと同人活動に勤しんで、同人関係の友人や活動を中心に生活して結婚を思い描いていなかった増田が、仕事で関わるお客さんと仲良くなって結婚したものの…という話である。やっぱりこれを読むと二兎を追う者は一兎をも得ずを実感する。好きだった同人活動を控え、結婚・同棲生活を過ごすが好きだったものを抑えるストレスに離婚を考えているという。やっぱり趣味が合う人を相手に選んだ方が理解があるし話のネタも尽きなくて良いとは聞くが、趣味を肯定してくれたものの実際の生活で一緒となるとなかなか上手くいかないのだろうということがわかる。
趣味に興じた所ジョージの世田谷ベース、対して仲間に溢れて生活するビートたけしの北野軍団のような、二兎は得られない感があって考えさせられる。

9.独身中年男性、狂ってきたので今のうちに書き残しておく

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何事にも頭打ちという言葉があるが、35はその境目なのだろうか。新入社員時代に26の先輩に25を超えた途端に階段がキツくなってくると告げられたが、自分が先輩と同じ歳になった時にはあまり実感が湧かなかった。むしろ学生時代の方が休日に何も出来ずに横になってスマホを弄っている事が多かった。当時は学校とバイトでほぼ稼働していたので回復が疲労に追いつかなかったのだろうと思うが、問題は筋トレだ。武井壮が体力を付ければ疲れにくくなると言っていたこともあって筋トレを時折行っているが、これをするだけで何かした1日になるし、良いと思っていた。ただ毎日定時で起床していたのが宅配のチャイムで目を覚ますようになってからは、純粋に体力でなく健康的な習慣に依存すると実感した。それでも仕事の日は定時で起きるのは社会性が最後の秩序となって機能しているからだろう。

10.新人にパワハラしていた先輩を通報した結果

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怖い話にはヒトコワなるものがあるが、これはその類なように思え、かつ身近なのが怖い。人間関係の中では、はたから見えている関係性と相対して接してから見えてくる関係性があるが、これはそれを如実に物語っている。チャップリンの言葉に「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見ると喜劇である」というものがあるが、まさしくそれが描かれている。コンプラが厳しい世の中での抜け穴のような感じである。

今や逆パワハラと言う、部下が上司に対して行うパワハラも知られてきているので、パワーバランスが均等になるよう配慮された職場環境づくりと言うのは結構重要な問題になるだろう。

☟下記は本件を受けて書かれた増田だが、こちらも読み応えがある。こちらは周囲も手を焼いている様子で、周囲に共感者がいるのが救いである。また、新卒社員が30年近く働く社員のお守りをさせられるというのがよくわからないが、大企業であるようだ。下記の増田自身も「私は会社から期待されていないからお守り係にされたのでは?」と悲観しているが、無事転職に成功した模様で安心する。下記件のBさんは人柄自体は悪くなさそうなのがまだ救いである。

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たしかに、年功序列によって長い年月会社に留まって働き続けた人が優遇されるシステムは合理的だと思うし、自分が出世できずに燻っていても給料が上がっていくという期待によって終身雇用を目指すことに近づけるかもしれない。ただ、あまりにも目に余る社員に対する対策が立てられず、周囲の社員の士気を下げる行為はかえって離職者を生んで、会社自体にも有望な株を自社で育てて会社を運営していくということから遠ざけてしまう。人間関係であったり、仕事のできる出来ないであったり、組織で働く上で人と関わる上で摩擦が生じてしまう部分をどう解消するかが解決できなければ、もうフリーランスなど個人レベルでスキルアップしていくのが自他共に良いのではとも思ってしまう。

無能の鷹思い出したけどこの話はコメディと言うより世にも奇妙な〜的ホラー感がある。日本企業の人事は宝くじ。どうやったら改善出来るかと言えば、不利益を被る度声を上げるしかない。皆圧倒的に文句を言わな過ぎる

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☟さらに他にも影響を受け書かれた下記増田が挙げられる。ただこの増田は怒られてから改善する努力や反省もあり、しづらいであろう質問もしっかりしているので、そこまで問題ではない感じがする。というより、増田の文章が読みやすく、B側の見え方がわかるので、覚えが少し悪いだけなのでは?と言う印象。

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この増田の言いたい例示が全く伝わってこないので、本当そういうとこなんだよ。見えてる世界がマジで違う。/増田は悪意は無いのだろうけど、事実と理解がずれてて周りに嘘ついてると思われてそうなんだよなぁ。

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〈補足〉

☟個人でも増田をまとめている人がいて、5chのコピペやスレのように、好きな文章をまとめておく風習は割とあるのだろう。

kido-ari.hatenablog.com

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以上。