Drogon Ashについては下記のTOMC氏の記事などが多く参考文献となっている。Dragon Ashの変遷についてわかりやすく書かれていて面白いので読んで欲しい。
当方Dragon Ashを知る以前はスチャダラパーを少し聞きかじり、m-floにハマった後にSOUL'd OUTを聴き、RIP SLYMEを聞きかじったりした。m-floはEDM化してからは聴くことが無くなってしまったが、LovesシリーズではDragon Ashともフィーチャリングした「WAY U MOVE」(『ASTROMANTIC』は名盤)や、Mondo Grossoとの「SHININ'」など、アンビエント的音響系やラテン系の毛色は若干コラボ曲で感じることが出来た。ゴリゴリのヒップホップ期は掘り進めていくことで後出しで聴いてハマった口である。
Dragon Ashがデビューするとき、本当はDrag-Onて名前で活動したかったけど、レコード会社の人に「薬物を連想させるからダメ」って言われて、「じゃあSPEEDもダメだろ!」って突っ込んだっていうエピソードがまあまあ好きです。
— のび🐕 (@novidog) 2014年5月17日
drag on ash(だらだらしてると灰になる)が由来であるとか。
―――2000年以降のミクスチャー・ロックムーヴメント
やはり「ミクスチャーロック」のバンドが好き過ぎる。個人的オススメの曲を雑に紹介します。 pic.twitter.com/S0wpX8QShF
— 餓鬼Иちょ (@pazu_official) 2022年12月3日
■RIZE『ROOKEY』
2000年初頭のジャパニーズミクスチャーは最高。ラストのデビューシングル「カミナリ」のイントロのディストーションが強いベースと畳み掛けるドラムが最高。
懐かしい。RIZE新宿アルタ前ゲリラライブ。当時まだ10代かな。
— 金子ノブアキ Official (@KanekoNobuaki) 2023年7月14日
演奏終わってそのまま隣の地下鉄入口から盛り上がってくれてたお客さん達と一緒に電車で帰ったw。 https://t.co/yrHxKwK1Qw
■山嵐『極上音楽集』
「山嵐」からツインラップが最高。フライング気味な炸裂するフローに圧倒される。聴く前に跳んでいる。KORNにインスピレーションを受けたようで、ラップメタルのような雰囲気が強い。早口言葉のような「パカパカ」とかトランスしてくる。
山嵐という渋すぎるバンドを聴いてほしい。 pic.twitter.com/UR2docieoL
— 餓鬼Иちょ (@pazu_official) 2019年7月18日
■スケボーキング(SBK)『KILLING FIELD』
普通にエレクトロニックな「Calm Down Dear」はチル系トラック。「TOKIO LV」では「ラブストーリーは突然に」をサンプリングしてる感じで、サビのラップが心地良い。
'99年〜'00年代初頭のDragon Ashがセールス的にもブレイクしていた時代の空気を象徴しているように思える1曲として、周辺にいたSBKが手掛けた嵐の「a Day in Our Life」を個人的には挙げたい。https://t.co/aw8bgg0fZz
— tt (@tt51970410) 2023年8月29日
―――10年ぶり、2020年から再始動したSBK
下記は2008年にリリースされたKjとのフィーチャリング『EPISODE V』。
スケボーキング『EPISODE V』で「久しぶりKj」の後に「ワッ」という声が入ってるんだけどこの「ワッ」がDragon Ash『DEEP IMPACT』で使われてる「ワッ」なんじゃないのかと気付いていよいよ壁はなくなるぞと思った
— zbpt (@zbpt) 2018年3月22日
☟SBK復帰後の2022年にはDragon Ashとして再コラボしている。
スケボーキングの新譜、KJがヒップホップのビートでラップするのを久々に聴けただけでもう最高 ありがとうございます pic.twitter.com/PY9sdOt7VM
— ISO (@iso_zin_) 2022年2月16日
☟さらについ先月(2023年10月)最新曲ではラッパ我リヤともフィーチャリングしている。
影響
The Smashing Pumpkins
kjがZeebraとコラボした「Grateful Days」のイントロはもろスマッシング・パンプキンズ「Today」である。当のKjもスマパン好きであるとインタビューやらで発言していた覚えがある。
また、『HARVEST』の「Canvas」のリフでは「Tonight,Tonight」の冒頭のリフがモチーフにされている。
Dragon Ashが下記の1stミニアルバムでデビューする。
■Dragon Ash『The Day dragged on』
全体的に激しめのハードロックと言う印象の作風で、ミクスチャーというよりメタルに近い。「天使ノロック」はスマパンの「Cherub Rock(邦題:天使のロック)」とタイトルが同じなのと若干ディストーション掛かったギターの音色が似ていて、BPMが少し早いくらい。「Realism」はラップでテンションが上がる。「羊を数えても夜は終わらない」も「FAke×Life」も青っぽくて良い。
■Dragon Ash『Public Garden』
こうしてミニアルバム2作を聴くと、初期の作品はダイレクトなロック的な歌詞に、ファルセットでの歌唱が目立つ。表題曲の「Public Garden」も爽やかな感じ。
■Dragon Ash『Mustang!』
記念すべき1stアルバム。全体的にミクスチャー感が少ないオーガニックなロック、バラードになっている。「Rainy Day And Day」は「Jellybelly」っぽく、「Sleep」は「1979」っぽく、全体的に『Mellon Collie and the Infinite Sadness』のような雰囲気がある。
AIR(車谷浩二)
AIR(車谷浩二)はソロとして活動する以前には渋谷系ユニット、Spiral Lifeとして活動していた。そのためネオアコっぽい作風であるがソロ作品はロック色が強い。
■AIR『MY LIFE AS AIR』
初期のDragon Ashを聴いた後に聴くとやっぱり与えた影響を感じる。「Today」や「25 YEARS OLD」、「DIVE & DIVE」なんかはほぼ「Mustang A Go Go!!!」の原曲のような雰囲気。
■Dragon Ash『Buzz Songs』
全体的にまだミクスチャー感が少なく、歌声もハスキーながらも透き通った歌い方なのが新鮮。「Under Age's Song」はシングルMixの方が個人的には好きだが、ミクスチャー感はアルバムMixの方が高い。「Mustang A Go Go!!!」は今のDragon Ashを考えると少し珍しい雰囲気ではあり、かつAIRのような歌い方とメロディーであることに気付く。「陽はまたのぼりくりかえす」はバラード調で2ndを締めくくる名曲。
☟2001年、AIRの方もkjから影響を受けてミクスチャー路線な作品をリリースしている。
■AIR『Flying colors』
Dragon Ashのkjとコラボしたことによって全体的にミクスチャーロックっぽくなっている。元々渋谷系ユニットのSpiral Life車谷のソロプロジェクトのため、若干渋谷系を感じられる。「夏の色を探しに」のUKロックのようなフォークソングのような雰囲気が良い。
■Steady&Co.『CHAMBERS』
kjの別プロジェクト(同バンドから他にDJのBOTS、RIP SLYMEのILMARI、スケボーキングのSHIGEO)Steady&Co.だが、シングルとしてリリースもされている「春夏秋冬」はAIRの「夏の色を探しに」をサンプリングしている。
ヒップホップ
Zeebra
Zeebraとkjの出会いはZeebraのアンセム的名曲「真っ昼間」のリミックスをkjが行ったことから始まる。
■Dragon Ash『I LOVE HIP HOP』
Joan Jett & The Blackheartsの『I love Rock`n`roll』が元ネタでクレジットにもアラン・メリルの名があり、後半に『Summer Tribe』にも使われたであろうサンプリングが流れてフェードアウト。リリックは『Viva La Revolution』の「Communication」に流用される形で用いられている。馬場と桜井による「The Theme of Motor Headphone」は粗っぽいスカムのような音でパンキッシュなインストに仕上がっている。
■Dragon Ash『Viva La Revolution』
「俺は東京生まれHIP HOP育ち 悪そうな奴は大体友達」のキラーバースが生まれたZeebraとの名曲「Grateful Days」も収録。全体的にレイヴのような、ファットボーイ・スリムやケミカルブラザーズのような雰囲気のビートが多いが、バラード感も残っていてエモい。
4th single「Let yourself go, Let myself go」
— DA_OFFICIAL (@Dragon_Ash) 2022年3月3日
(3.3.1999)🔥
ここに登場する車はKjが買ったばかり⚡️の
"FORD MUSTANG CONVERTIBLE"
寒い時期の撮影だったので後席の2人は凍ってました🧊
♪ https://t.co/jLdg7y5K35 ♪
#DragonAsh#DragonAsh25th#LetYourselfGo#Mustang pic.twitter.com/in5odY5kZT
若くて尖ってる頃のDragon Ashが音楽番組の口パク収録を揶揄るために「Let yourself go, let myself go」披露時にマイクを逆さに持ったパフォーマンスしたのがCDTVだった。それが今日のCDTVライブライブでは歌詞を変えて歌い、テロップと歌声の齟齬を起こして生演奏アピールしてたのは感慨深いなぁ。
— Ai (@Ai_Tkgk) 2022年6月6日
■Dragon Ash『Summer Tribe』
これが問題作である。確かに声パクリそしてフローパクリな感じはしてしまう。オシャレ度をアップさせた「真っ昼間」のような感じで、ムシムシする感じやダルさがこの曲ではバカンスでの程よい南風と爽快感に置き換わっているような感じがする。若干ディスりのような「やっぱコンクリートの熱帯雨林 閉め切った部屋なんて絶対無理」のリリック。
Dragon AshはKjがZEEBRAにdisられる決定打となったはずの『Summer Tribe』すらサブスク解禁したのに、それでも『Grateful Days』は仮にも最大のヒット曲なのに解禁していないあたり、Kj自身がこの曲に関しては今なお触れたくないということなんだろうか…?
— SCAR(スカー) (@scar_semitdoog) 2020年2月20日
■Dragon Ash『LILY OF DA VALLEY』
Dragon Ashの中でも一二を争う作品。攻撃的なビートの「Bring It」「Aim High」はRATMやATRを彷彿とさせる。バラードからサビで一気にハードロックになる「百合の咲く場所で」。
■Dragon Ash『Life goes on』
シングルのみでアルバム未収録の名曲「Life goes on」収録。休日の朝から聴きたい感じのラップ。
「写メール J-PHONE」 CM
— 青空. (@Lrigkseulb) 2023年11月3日
出演:高橋マリ子
♬ Life goes on
歌:Dragon Ash
作詞曲:Kj/編曲:Dragon Ash
pic.twitter.com/7h9CSw5XEF
アンビエント
YMOの細野晴臣も散会後に発足させたFOEを辞めた後、アンビエント色の強いテクノ作品を90年代にかけてリリースしてきた。二匹目のどじょうを狙うつもりだったかは不明だが、FOEはJBの前座のライブでJBファンに叩かれ、自身は骨折はするしで、もう商業音楽に疲れてアンビエントに癒しを求めた部分も多かれ少なかれあるだろう。対するKjもZeebraに「公開処刑」を受け、ヒップホップがやりづらくなった後もセールスは伸び、疲れ切ったことと思う。そこでアンビエントである。
Dragon Ashのポストロック・ダブ・アンビエント方面の楽曲をまとめたプレイリストを作成しました。
— TOMC トムシー (@tstomc) 2020年2月20日
脱ヒップホップ、かつラテンに振り切るまでの過渡期('02-'05年頃)の作品は独特のバランスのものが多く、ジャンルの壁が無くなってきた現代の方が支持される気がします。https://t.co/tgM1PIxF26
アンビエントテイストな楽曲でベストアルバムにのみ収録された「wipe your eyes feat. Kaori Mochida from ELT」では「Grateful Days」のACOのようなボーカルの持田香織の透き通ったボーカルが聴ける。上手くマッチしていて癒される。
Dragon Ashを人格形成期に聴いて育ったからロックにもラップにもエレクトロニカにもグリッチにもレゲエにもラテンにも入りやすかった。マジで感謝してる。https://t.co/jHgx5RvaUi
— 𝚑𝚒𝚠𝚊𝚝𝚝 (@kalopsia___3) 2023年8月29日
■Dragon Ash『Harvest』
「House of Velocity」はアンビエントでリキッド・ファンクみたいな感じ。「United Rhythm」はタブのような部分があったり、「morrow」はオートチューン処理されてるような箇所がある。「Mob Squad」もクールで90'sアングラヒップホップな感じのするトラックで、ドローンのようなベースとハット系の軽いドラムのビートが心地良い。待ってましたとばかりに鳴り渡る「Fantasista」。もう既にイントロの入りで興奮冷めやらぬ感じになってしまっているが、そこから口火を切ったように始まる早口言葉のようなボーカルはやはり歌いこなせない。プライマル・スクリームの『Screamadelica』みたいな雰囲気。
ラテン音楽
Dragon Ashはロッキンオンのシーン以外からはずっと冷遇され続けてたもんな。今でこそ日本のHIP HOPシーンへの影響を再評価されてきてるけど当時の扱いは酷かった。HIP HOP後のアンビエント→ラテン(この時期が個人的には最高)→ミクスチャーロックへの回帰と音楽性変えていってるのも素晴らしかった。
— Ai (@Ai_Tkgk) 2023年8月29日
この頃からはあまり表立って目立つようなこともなかった印象。またライブではバックダンサーが踊り始めた。当ブログでは音楽カテゴリにて「最高に跳べるシリーズ」「落ち着きたいときに聴くシリーズ」「落ち込んだときに聴くシリーズ」をシリーズ化しているが、Dragon Ashヒップホップ期は「最高に跳べるシリーズ」、アンビエント・ラテン期は「落ち着きたいときに聴くシリーズ」「落ち込んだときに聴くシリーズ」に分類できる。やはり、ラテンは癒しである。
■Dragon Ash『Río De Emoción』
全体的にラテンの風がなびいていて、チルできる雰囲気。ブラジル民謡を元にした「La Bamba」をカバーしたメキシコ系アメリカ人バンドLos Lobosにちなんでか、ブレイクビーツな「Los Lobos」収録。ドラムンベース(というよりはジャングルに近い)とレゲエが一緒になったようなリズムやらフラメンコのようなリズム。「crush the window」が最高。
■Dragon Ash『Independiente』
冒頭の「Develop the music」が最高。『Río De Emoción』に引き続き筋肉タレントの武田真治がサックスプレイヤーとして参加している「El Arma」。原点回帰のようなバラード調の「夢で逢えたら」。
―――For divers area
またこの頃出されたベスト盤に収録された新曲「For divers area 」はアップテンポでサンバカーニバルのような仕上がりになっている。
Dragon Ashのラテン路線でもかなり好きな1曲なんだけどベスト盤にしか入ってないので見落とされてる可能性ありそうでちょっと勿体ない。https://t.co/0dyXGU32zO
— よろすず (@yorosz) 2023年8月29日
■Dragon Ash『Freedom』
表題曲「Freedom」はクールなカーニバル。「Episode 7」ではまたもやSBKとのフィーチャリング。ここに来て「La Bamba」のカバーも収録。次作への伏線のような「Mixture」はスクラッチやディストーションギターのイントロにラップといったリバイバルを感じる。南国のように温かい「運命共同体」。
リバイバル
■Dragon Ash『Mixture』
原点回帰的タイトル。ラテンもラップも残り香を感じる。「Ambitious」では「Fantasma」を彷彿とさせるサッカーテーマソング。「BEAT SURF」はシングル版の方が好き。アルバム版は落ち着いていてカーニバル感が少ない、と言うか別の曲に聞こえる。ラストの「ROCK BAND」は感動できるほどストレートな「忘れてねぇ今も何も 俺の夢はロックバンド」というメッセージ。
■Dragon Ash『The Faces』
「Trigger」はRATMのような雰囲気でカッコ良い。「Blow Your Mind」の間奏のギターやら、サビでのスクラッチやらがカッコ良い。「Walk with Dreams」はクライマックス感のあるロック。「The Live」のKenKenのうねるスラップベースが最高。
■Dragon Ash『Majestic』
イントロのサウンドから今までの毛色と全く違う。Boom Boom Satellite感が強い、ニューウェーブのようなデジタルロック感。歌唱もメロディもすべてロックバンドらしいサウンドになって新章Dragon Ashという感じ。客演のないアルバム作品は『Buzz Song』以来。何の影響でもないDragon Ashの音。
Dragon Ashが無料配信するとチャット欄にちょくちょく現れるまたラップして欲しい、ヒップホップをやって欲しいと言う人へ、Majestic発売時のKjのお気持ち貼っときます。きっとDAが流行ってた青春時代に聴いてた人達なんやと思うけど、今のKjはバンドマンである事に誇りを持ってます。#DragonAsh pic.twitter.com/O62gwrihpj
— QooK (@QookBobBob) 2023年8月21日
―――Y2K
■JUBEE『Explode』
「Kick it loud」から『Viva La Revolution』のような雰囲気で、声やフローはZeebraさながら。「手紙」はバラード風。「Black Flys」は『HARVEST』さながらのダブ。
影響を受けた人物は?
Dragon AshのKjですね。自分の音楽性を育ててくれたと勝手に思ってて。単純にロックだけじゃなくて、そこにヒップホップやジャングルの要素が入ってきたり、彼が影響を受けたバンド……AIRとかThe Smashing PumpkinsとかもDragon Ash経由で知ることができたし、もちろんファッション的な影響も受けてて。自分にとってすごく大きな存在だと思いますね。
https://t.co/vX6scetYn4
— 極東極楽 (@babylonkey) 2023年8月29日
Dragon Ashはこういう現在のラップのなかで確実にリバイバルしているし、偉大なポップスはそれを聴いて育った演者の記憶のなかで咀嚼されて、スタイルとして復権していくと思います。実際これは最高だったから、Dragon Ashを知らない世代も知っている人たちも試してほしい。
Mall BoyzのTohjiもDragon Ashは好きなようで、なんならキングギドラも聴いたりしていたようだ。
Tohji:あとオレは、Dragon Ashが好きでしたね。オレ的にあの頃のDragon Ashは宇多田ヒカルと同じぐらいの存在で。KJはめちゃくちゃいいと思うし、本当にすごいと思ってます。
以上。