Patchwork Dream

随時、記事の加筆・修正または再掲載します。

あのさぁ!YMOと書いて、何て読むか知ってる?ねぇ知ってる?YMO………イモ。

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いつか出そうと思って書き溜めていたYMOの記事。今年こんなことになるなんてと悔やまれるが、偉大なアーティスト達が残してくれた音楽は今日も生き続け、未来永劫聴き継がれていくだろう。R.I.P

とは言え、今はそこまでYMOフリークではないし、毎日聴き続けるなんてこともないが、たった3、4年ほどの活動で世界規模で今日に至るまで大きな影響を与えたのは伝説とも言える。内田裕也が「細野の奴、今度はクラフトワークの真似事なんかしてやがる」みたいな旨を言ってたようだが、日本語ロックの元祖とも言われるバンド、はっぴいえんど(前身のApril Foolはめちゃくちゃアバンギャルドなバンド)でベースをやっていたり、細野晴臣自体が世界規模で影響力があるのは間違いない。

―――テクノの礎を担ったYMO

デリック・メイデトロイト・テクノ創始者のひとり)はすごいYMOファンで、会うたびにYMOの珍しい話をしてくれなんてせがまれる。あるとき、意を決してこれは誰も知らないことなんだけど、80年代はぼくと細野さんは仲が悪かったんだ。そう打ち明けたら、彼はそんなことは100年前から知ってる、ファンはみんなわかっている、だって(笑)」(坂本龍一・2018年)

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―――クラブカルチャーでサンプリングされるYMO

■D.J.Africa Bambaataa『Death Mix』

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アフリカ・バンバータによるミックステープ。当時の音質なのか音はだいぶ悪い。Part2の序盤に「Firecracker」が流れる。

アフリカ・バンバータがサンプリングしたことを発端に後のテクノでもサンプリングされたり、ヒップホップ界隈ではデ・ラ・ソウルらがサンプリングしてたりする。

―――Pre YMO

■Pre YMO & Various Artists – InDo

InDo 1979~1999

インドっぽい雰囲気の熱帯地方の湿度を感じる作品。高橋幸宏のドラムに細野のベースとメロディ。簡素だがチルできるトラックになっている。未完成のトラックで20年越しにリミックスアルバムという形でリリース。

■V.A.『PACIFIC』

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山下達郎のインストを堪能できる。ビーチ・ボーイズのような雰囲気の「ノスタルジア・オブ・アイランド」ではコーラスで山下達郎を確認できる。後にYMO1stにも収録される「コズミック・サーフィン」がトリ。ドナ・サマーのようなシンセリフとアーケードゲームっぽいサウンドYMO版より好き。

YMO

―――下半身モヤモヤ、みぞおちワクワク、頭クラク

それにしても、YMOの頃は、さんざん、無機質な音楽と言われました。 呆れるくらいに言われましたね。 ぼくたちの会話の中でも、それが話題になることもよくありました。 だけど、「計算され尽くして作られた歌謡曲とか、そういうものを本当は無機質と言うんだよ」それが細野さんの意見 であり、ぼくたちの一致した思いでした。 例えば、最近だと、春になるとお決まりのように、いわゆる狙いを定めて桜を題材にした歌、卒業を題材にした曲が発売されます。そういうものに、僕は、エモーショナルなものを一切感じない。つまり、そういう音楽こそ、無機質だということです。

Yellow Magic OrchestraYellow Magic Orchestra

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ディスコのようにシームレスに4つ打ちのリズムで進んでいく作品。US版の方がジャケもアレンジも好き。スロットマシーンを動かしているようなサウンド、特に「Mad Pierrot」の独特な雰囲気が良い。Kraftwerkブライアン・イーノも初期のクリアではないいろんなメロディが鳴っている状態の混沌としたサウンドが最高だった。混沌の中のグルーヴにトランスを見出して揺られるような作品をあともう1作ほど出して欲しかった気がする。

Yellow Magic Orchestra『Solid State Survivor』

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Technopolis」に「Behind The Mask」といった坂本節が強い作品だが、代表曲とも言える「Rydeen」は高橋幸宏作曲(高橋の鼻歌から坂本がオケを完成させたとする逸話もあり)。細野の「Absolute Ego Dance」も琉球音楽とディスコの掛け合わせでエキゾチック感がまだ健在している感じがする。再生後にもライブで演奏された「Castalia」はYMOらしくない現代音楽的なダークな作風。

■V.A.『エーゲ海

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エーゲ海をイメージしたコンセプトアルバム。YMOの2ndっぽい「レゲ・エーゲ・ウーマン」は「Absolute Ego Dance」ぽいし「ミコノスの花嫁」は「Insomunia」ぽい。

Yellow Magic Orchestra『X∞Multiplies = 増殖』

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音楽とコントが綺麗に組み合わさっている作品で、コントからシームレスで音楽が流れるラジオ的な構成。カバー曲ではあるが「Tighten Up」がカッコ良い。「Citizens Of Science」もアガれる曲だし、冒頭の「Nice Age」も洋楽っぽくて良い。

Yellow Magic Orchestra『BGM』

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細野と高橋がYMO傑作と謳っている作品。これまでのポップさにはないダークな一面が引き出されている。「Ballet」のダークなオシャレさ、唯一純粋な楽曲「音楽の計画」の複雑なビート、「ラップ現象」のラップのカッコ良さ。後半の「Camouflage」のIDM的ビートと「Mass」の軍歌のようなテクノが最高。「Loom」はヒーリングのような不安になるような不気味で美しい感じが良い。まさに「Beautiful Grotesque Music」。

Yellow Magic Orchestra『Technodelic』

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坂本がYMO傑作と謳う作品。「新舞踊(ノイエタンツ)」「京城音楽(ソウルミュージック)」ではインドネシアのケチャが用いられて独特な不規則ドラムが最高。

Yellow Magic Orchestra『浮気なぼくら = Naughty Boys』

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ある意味衝撃作。アイドル路線のYMOだが「君に、胸キュン。」はアニメのEDだったりCM曲にもなっている名曲。「邂逅」も名曲。全体的に歌モノが多く、テクノポップ歌謡のアンセム的作品。この時、時代がYMOの色に染まり始めたような感じがする。本作ではあり意味異色な「WILD AMBITIONS」も最高のトリ。

明菜の禁区は、初期アイドル時代、1983年9月7日発売で、作詞: 売野雅勇、作曲: 細野晴臣、編曲: 細野晴臣萩田光雄のスタッフであったことはよく知られている。

曲はツッパリソングの一つとして位置づけられているが、テクノ歌謡の代表とも言える。出だしは重ったるく始まるが、「戻りたい 戻れない」からサビになり、ぐっと声が出てきてボルテージが高まる。
それにこの曲を歌う時は独特の衣装を着て、あの手を振り回すフリをつけて歌った。

http://www.youtube.com/watch?v=9yj03p4zLnw&feature=fvwrel

レコーディング時のデモビデオ
http://www.youtube.com/watch?v=hMD890mj51E

また、明菜ファンにはよく知られたエピソードとして、禁区は細野が最初に提供した「過激な淑女」が明菜スタッフの選考会議で外され、再び細野に作曲を依頼した結果生まれた作品であった。なぜ、ボツになったのか? まだ少女の明菜には大人のイメージが強いと感じたのか、あるいはアイドル曲としてインパクトが弱いと感じたのか、分からない。

結局この「過激な淑女」はYMOが自身でオリジナルシングル化して発売した。テレビの「夜のヒットスタジオ」で歌ったビデオがYouTubeに残っている。高橋幸宏がメインボーカルを取っている。不思議なフリがついている。なかなか良い曲だ。もし明菜が歌っていたらどうだったか。ちょっと聞いて見たい気がする。

出典:中森明菜(105)禁区と過激な淑女 

Yellow Magic Orchestra『Service』

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3rdアルバムのようにコントと音楽の構成で、今回は三宅裕司のS.E.T.によるコントが収録されている。楽曲は80年代の中森明菜的なアイドル歌謡曲っぽいテイスト。時代がもうYMOの作風を受けてニューウェーブ一色の中のYMOのラストアルバム。「The Mad Man」のラップは今聴いてもかっこよい。

Yellow Magic Orchestra『Technodon』

TECHNODON(Remastered 2020)

既にハウスやテクノが生まれて以降のジャンルをYMOが取り入れた形の作品。「Be A Superman」では幸宏の「ごめん」がアクセントになっているチルな名曲。アシッドな「NANGA DEF?」にYMOがセルフリミックスしたような「CHANCE」。と言うよりこの作品自体がYMOセルフミックスみたいな部分がある。

☟「Be A Superman」イントロのシンセリフはCybotron「Clear」(1983年)のオマージュのようにも感じる。Cybotronは後に"テクノ"と言うジャンルを確立させた(1985年にジャンルとしてのテクノが確立されたとする説が有力)ホアン・アトキンスによるユニット。

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LIVE

Yellow Magic Orchestra『LIVE AT GREAK THEATER 1979』

LIVE AT GREAK THEATER 1979

えげつない程プレミア価格になっているが、この時期のYMOはまだフュージョンっぽさがあって、テクノと言うよりファンクさが強かった。「1000Knives」が最高過ぎる。ナニコレ。「Cosmic Surfing」もアップテンポで最高。全体的にグルーヴが生まれていてトランスできる。

高橋幸宏

RYDEEN等の代表曲を何個も手がけた作曲者だし、ビジュアル面なんてとてつもない功績だし、むしろ、YMO高橋幸宏カラーで染め上げた領域ってかなりデカいのよ。「邪魔せずに引き立てた」「緩衝材」は過小評価。

b.hatena.ne.jp

―――YMOのオシャレ番長・高橋幸宏

35: 名無し募集中。。。@\(^o^)/ 2015/03/24(火) 20:01:02.78 0.net

高橋幸宏YMOの三人のことを形容してこう言った。 

「僕から見ると坂本君っていうのはね、奇才なんですね。努力型のね。すごく理論的にすごく頭良く、こう、整理していける人。 
で、細野晴臣って人は天才ね。あんな顔してるけど。いつも眠そうだけど。起きてるんですよ、アレ、実は。(笑) 
僕はただの凡人と思ってましたから。二人の仲をとりもつ役だけが僕の全て、っていうね。まぁ、太鼓持ちって言葉ありますけども。 
ドラマーだから一応太鼓持ちだったかな。(笑)」 

「僕はね、ジョージかリンゴになりたかったんですよ。じゃあ、細野さんは…やっぱりジョンですよね。とすると…?坂本君はやっぱり出たがりのポールかな(笑)。」

blog.livedoor.jp

YMO関連のビジュアルワークスを担当した奥村靫正氏の所蔵品がオークションに出品されている。

高橋ユキヒロ『Saravah!』

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演奏が豪華なJソウル。「サラヴァ!」も「セ・シ・ボン」もうっとりするようなトラック。当時の細野晴臣のようにあまり感情を乗せない感じの無骨な歌い方。インストの「エラスティック・ダミー」。ラストの「プレゼント」も最高。

高橋ユキヒロ『Saravah Saravah!』

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幸宏氏がヴォーカルを新録にして40年ぶりに完成した作品。伴奏さえ新しく感じるが当時の伴奏を再現するのは困難だろう。1srアルバムのリメイク盤となる本作だが、当初の武骨な歌い方ではなくスタイルの定まった現在の歌い方で歌われ、ワインのように熟成されて完成形となった。

高橋ユキヒロ『音楽殺人』

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79年後半から80年代初頭にかけた独特なテクノポップが好きだが、まず『音楽殺人』っていうタイトルが凄い。すべて英詞で全体的に洋楽っぽいし、フレッシュさとスピード感が良い。

高橋幸宏『NEUROMANTIC=ロマン神経症

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タイトルは音楽ジャンルであるニューロマンチックになぞらえたNEUROTIC(神経症の・神経症者)とROMANTIC(ロマンティック)の造語。YMO『BGM』からの影響が強い作品で、当初タイトル案は『BALLET』。「Curtains」のみ坂本龍一作曲だが言われてみると坂本龍一っぽいし「音楽の計画」っぽい。「予感」の霧が晴れて明るみが見えてくる感じが良いエンディング。

高橋幸宏『WHAT, ME WORRY? ボク、大丈夫!!』

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冒頭の 「WHAT, ME WORRY?」が細野っぽい。「IT'S GONNA WORK OUT」が駆け出しに聴くのに最高。坂本龍一のCM曲を気に入った幸宏が採用した「回想」もエモい。

高橋幸宏『薔薇色の明日』

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軽やかな「My Bright Tomorrow」。爽快で癒される名曲「6月の天使」。YMO「Lotus Love」のような「偶然」。中森明菜の曲のような「This Island Earth」。1日の締めに癒される作品。

坂本龍一

下記のTweetを見かけたが、今やタケモトピアノ財津一郎氏も亡くなられてしまったのが物悲しい。タケモトピアノのCMも今やあのCMソングではない。

―――葬儀で流すためにまとめたプレイリスト

デヴィッド・シルヴィアンのみボーカルモノというのが興味深い。

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―――坂本図書

都内のどこにあるのか所在も不明で完全予約制。予約も現在取れていないので、年内にできれば行きたいところではある。ここでは坂本の蔵書を実際に手に取って読むことができる。

www.sakamoto-library.com

☟『坂本図書』、書籍も販売されるようだ。坂本龍一による人物録。武満徹ジョン・ケージなどの人物について記述されている。

www.valuebooks.jp

坂本龍一千のナイフ

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坂本龍一の1st。YMOでもカバーされた「千のナイフ」や「The End Of Asia」収録。この作品だけ聞くと冨田勲高橋悠治(本作「グラスホッパー」でも共演)のような現代音楽っぽい雰囲気だがポップさがある。「新日本電子民謡」や「プラスチックバンブー」もなかなか雰囲気が出ていて面白い。

坂本龍一&カクトウギセッション『サマー・ナーヴス』

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YMO周辺の演奏者が格闘技のように共演するコンセプトの作品。教授と矢野顕子のデュエットの「SLEEP ON MY BABY」が心地よいミニマル。「“カクトウギ”のテーマ」は盛り上がるし、電子レゲエというべき「TIME TRIP」は不思議な感覚になる。YMO1stのようなウヨウヨしたりパキパキしたシンセ音が心地よい「SWEET ILLUSION」。全体的にフュージョンだが面白い。

坂本龍一『B-2 Unit』

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インダストリアルを志向した作品で、細野に「YMOじゃ出来ない」と言わしめた作品。テクノ台頭以前の1980年作品でIDMを感じる。坂本龍一の曲の中でも一番跳べる作品。

坂本龍一『左うでの夢』

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太古の伝統音楽のような雰囲気で、シンセとギター、ボーカルやパーカッション、シンプルな構成で音数が少ない印象。子供向けの音楽の様にも聴こえるが、ギターが炸裂する「The Garden Of Poppies」やシンセのリフが心地よい「Relâche」、やや暗めな「Tell'em To Me」がある。リズムマシンの上を猿が戯れる実験的フィールドレコーディングの「サルの家」も興味深い。

坂本龍一未来派野郎』

未来派野郎

ブレードランナーの影響を受けたような坂本流ロック。ロックンロール的な「Broadway Boogie Woogie」は冒頭から盛り上がるし「Ballet Mécanique」は劇団四季の挿入曲のような展開があり、またもやギターが炸裂する。細野のOTT(※後述する)を模したような「大航海 Verso lo schermo」もデジタルビート×オペラのような組み合わせが良い。

細野晴臣

クラフトワークがいなかったらYMOの音楽は異なるものになっていたと思います…3者(クラフトワーク、ジョルジオモロダー、YMO)が新しかったのはビートをシーケンサーという電子的な制御によって作ることだったのです。そしてその魅力と可能性を教えてくれたのがクラフトワークでした:細野晴臣

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YMOからもう40年以上たつんだな。結成したときは僕が30代になったばかり、ふたりは20代。当時の写真を見ると、さすがにみんな若いね。本当は年齢の順に逝くはずなのに、順番がちょっと狂ってしまった。

 幸宏に初めに声をかけたとき、目を輝かせて飛んできてくれた話は前にもしたよね。目というか、オーラが光ってたんだ。YMOを引っ張っていく運命だったんだと思う、幸宏は。

 そのあと坂本くんに声をかけたんだけど、よく覚えてるのは、白金台の近くにある焼き鳥屋さんに3人で集まって、渋る坂本くんを口説いたこと。半信半疑だったんだろうね。そのころアレンジャーをしていて、独立してやってくつもりだっただろうし、バンドも初めてだったから。正直に言ってくれたんだ、不安だと。でも幸宏やまわりのスタッフに頼まれて、世界に羽ばたいてくれというニュアンスで説得した。それでちょっとやる気が出たのかもしれない。

 YMOについては、始まったころのことをいちばん覚えてる。坂本くんを説得したあと、もっと親密になって、3人でよく会うようになった。楽しい時期だったな。ご飯を食べたり、坂本くんがアレンジを担当するレコーディングに呼ばれて、ベースを弾いたりした。アレンジの方向が坂本くんらしい、フュージョン系のものが多くて、そういうのを演奏するのが楽しかった。

 だからYMOを始めたときも、フュージョンっぽさがけっこう残ってる。ニューヨークのスタッフとか、ああいうスタジオ・ミュージシャンにすごく魅了された。YMOで最初にレコーディングした曲は「ファイアークラッカー」。でもアルファレコードのスタジオに入って、生演奏で録音したら、ちょっとフュージョンっぽすぎて面白くない。それでコンピュータでやればいいんだと確認できたんだ。ただ、1枚目のアルバムはニューヨークのミュージシャンの影響がやっぱり強い。例えば坂本くんの「東風」は、オリエンタルなテーマもあるけど、濃厚にそういう影響を受けてると思うよ。

 YMOのスタイルが決まっていったのはクラフトワークの影響が強いのかな。3人でクラフトワークを聴いて、彼らのアートワークからロシア構成主義に首を突っ込んで、本を買って勉強したりした。でも勉強すればするほど、ドイツの歴史を背景に持つ、彼らの鋼のようなコンセプトには太刀打ちできない、と。じゃあ我々はどうしようかってよく話してたね。

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細野晴臣『はらいそ』

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細野がYMOを構想していた時期の作品。「東京ラッシュ」の独特なグルーヴに「ファム・ファタール~妖婦」のエキゾチックな妖艶さ。坂本龍一の「The End Of Asia」とコード進行が似ている「ウォリー・ビーズ」も良い。「この次はモアベターよ」とアウト路に細野の声が入っている。

細野晴臣フィルハーモニー

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帯に書いてあった言葉が確か「一所懸命作りました。」。「ホタル」のガムランチックで幻想的な音楽はトロピカル三部作に通ずるものがある。YMOでもリメイクされた「Limbo」のオリジナルはガムランチック。「L.D.K」「スポーツマン」はやはり名曲。

細野晴臣『S-F-X』

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OTT*1の手法で刻まれる独特なビートが心地好い。陽気な気分に浸れる80年代チックな近未来的サウンド。ラスト「DARK SIDE OF STAR」はビートのないピアノ曲

☟アルファレコードからテイチク移籍後に「ノン・スタンダードレーベル」「モナドレーベル」の2つのレーベルを立ち上げた際のプロモーション的作品。次回作『SFX』に続きそうな「Non-Standard Mixture」と初期YMOのような雰囲気を感じる「Medium Composition」以降のサウンド(どちらかというと初期坂本龍一っぽい)。

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―――OTTの影響

前述の坂本龍一の『未来派野郎』には全体的にOTTの手法が用いられているように思われるが、未収録曲「Futurista」(下記『Year Book 1985-1989』収録)もOTT手法が使われていたりする。

Ryuichi Sakamoto – Year Book 1985-1989
田原俊彦『Don't Disturb』

田原俊彦 – Don't Disturb

前半3曲は久保田利伸作曲。ビバリーヒルズ・コップみたいなシンセの「Coolなままシェイク」もダンサブルなR&Bな仕上がり。「愛情現象 ELEMENT OF SEASONS」はOTTを駆使した高橋幸宏作曲で『WHAT, ME WORRY?』みたいな雰囲気。

F.O.E

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―――YMO後のF.O.E

F.O.E『Sex, Energy And Star』

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OTT手法が際立つユニット。トラック的にはテクノというよりヒップホップのトラックのようなデジタルビートで初期の電気グルーヴのような雰囲気。後作と打って変わってトライバルな仕上がりになっている。ラップ調の歌だったりとヒップホップ主体にしているのがF.O.Eの特徴。熱心なJBファンに批判されたという「Sex Machine」もデジタルビートですっきりした印象(細野はライブで批判が起こることを想定して何回もJBライブの前座出演を断った後折れて出演したらしい)。

F.O.E『The World Of F.O.E

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細野ソロ作『SFX』からリメイク版の「Return Of Body Snatchers」「Strange Love」は全編英詩でビート増し増しにアレンジされている。ニューウェーブでUrban Danceっぽい「DANCE HALL」も良い。

サポートメンバー

☟下記のTweetで気が付いたが、ウィンター・ライヴ1981のサポートメンバーである矢野顕子松武秀樹大村憲司の3名の頭文字が図らずもYMOである。

横尾忠則

元々は作家の横尾忠則も4人目のメンバーとして記者会見に参加するつもりであり、本人も参加の意思があったものの、仕事の締め切りに追われていたために記者会見をドタキャンし、そのまま3人組でのYMOデビューと言う結果になったようだ。なんか友達との待ち合わせでギリギリになって間に合わなくなり始めてから「遅れる」と連絡するような切羽詰まった感じがして面白い。横尾忠則YMOにいたらジャケットワークも大きく変わっていたかもしれないし、世界観も変わっていたかもしれない。もしかしたらもっと長くYMOが活動していたかもしれない…。運命のいたずらが幸か不幸か今も語られるYMOを形作ったというわけだ。

細野
ぼくたちロック世代にとって、あのときは
音楽がコンピューターに移る変革期です。
そういうときに、
「コンセプトをどうしようか」ということになり、
「そうだ、横尾さんがいるじゃないか」
と思いつきました。
糸井
バンドなのに。
それ、すごいですね。

細野
そう。音楽のメンバーじゃなくて、
第4のメンバーとして横尾さんがいれば、
いろんなことができると思いました。
でも、そのお手本はすでにいたんですけどね。
糸井
絵描きさんの入っているグループが
ほかにいたんですか?
細野
絵描きさんじゃなくて、詩人とかね。
プロコル・ハルムというバンドもそう。
糸井
プロコル・ハルムには詩人がいたんですか?
細野
そうです。準メンバーですけどね。
その詩人のオーラがすごくバンドに影響してる、
そういう存在だったんです。
だから、横尾さんもそうなるんじゃないかな、と思って
打診したら「やるよ」と。

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細野晴臣横尾忠則『COCHIN MOON(コチンの月)』

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冨田勲やウェンディ・カルロスのような初期のシンセ音楽という印象。ジャケットは横尾忠則。横尾と細野で一緒にインド旅行に行って作成されたコンピュータ音楽。効果音やリフ(「歯茎」って言ってるように聞こえる)が心地良いサイケデリック・トランス。細野がインドで下痢で苦しんだ様が伺える「出るものは全部出した方が良い」の声。

松武秀樹 / Logic System

■Logic System『LOGIC』

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海外でもリリースしていたようで「Domino Dance」が香港で人気だったらしい。YMOというより初期久石譲のテクノのようだ。全体的に機動戦士ガンダムで流れてそうな感じのSFっぽい曲。

■Logic System『VENUS』

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前作に比べるとビート控えめなメロウな印象。フュージョン的な要素が多く、80年代アニメサントラのような音色が多い。比較的激しめな「Plan」、ほぼフュージョンの「Be Yourself」。

渡辺香津美

渡辺香津美『Kylyn』

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矢野顕子作曲の「Water Ways Flow Backward Again」がパット・メセニー的な和風ジャズで心地よい。坂本龍一作曲の「E-Day Project」も坂本らしくて好き。坂本作曲の曲はどれも気分が高まる特徴のある曲。もちろん渡辺香津美作曲のその他の曲も最高。

大村憲司

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徒競走のような「Intensive Love Course」で最高の幕開けの後「Seiko Is Always On Time」で一休み。「Knife Life」最高にカッコ良いし、YMOワールド・ツアーで演奏された「Maps」もカッコ良い。

矢野顕子

矢野顕子『ごはんができたよ』

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町田町蔵が対抗して『メシ喰うな』を制作したというのは有名な話。全体的にニューウェーブっぼいテクノ歌謡のさくふ矢野顕子作品の中でも代表曲と言っても過言では無い「ひとつだけ」収録。「Colored Waver」はあまりにもカッコ良すぎるジャズ。

COLORED MUSIC(橋本一子と藤本敦夫)

■COLORED MUSIC『COLORED MUSIC』

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80年代のレア・グルーヴといった感じで、ミニマルでシンプルなシンセミュージック。YMOのツアーサポートを務めたことのある二人ならではの作品。ジャズ系の橋本一子とその夫である藤本敦夫のユニット。洞窟の奥で鳴っているかのような音響感が最高。

SHEENA & THE ROKKETS

SHEENA & THE ROKKETS真空パック

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細野晴臣プロデュースでサポートに高橋幸宏坂本龍一も参加している。メンバーの鮎川誠はギターでサポートメンバーとしてYMOに参加したり、SHEENA & THE ROKKETS自体がYMOの前座に出たこともある。キャッチーな「YOU MAY DREAM」は最高なキラーチューンだし、高橋幸宏がボーカルを務める「RADIO JUNK」はやはり名曲。『パブリック・プレッシャー/公的抑圧』バージョンに比べると原曲はやったりとした雰囲気があってテクノと言うよりロック色の方が強い。最後の「ロケット工場」は坂本龍一作曲のインストだが、『Technodelic』の「前奏」「後奏」に通ずる何かを感じる。

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影響

―――YMC

2018年、YMO結成40周年を記念したるトリビュート・コンサート『Yellow Magic Children 〜40年後のYMOの遺伝子』が開催された。後年のYMOのライブのサポートメンバーである高野寛、ゴンドウトモヒコも参加。小山田圭吾は参加していない模様。

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―――影響を受けたと思われる海外アーティスト

Paul McCartney『McCartney II (Special Edition)』

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YMOKraftwerkのようなテクノに影響された本作。ポールがお遊びで作ったと言うが、フレーズや音がシンプルで特徴的なため耳に残りやすい。

YMOポール・マッカートニーとセッションを予定していたが、ポールの大麻所持で中止となってしまい『増殖』の「NICE AGE」にてその件について少し触れている(曲中のナレーションに「「ニュース速報。22番は、今日で1週間経ってしまったんですけれども、でももうそこにはいなくなって彼は花のように姿を現わします。Coming up like a flower…」」)。そこでポールは「Coming up」やらYMO感強めな「Frozen Jap」をリリース。

Ultravox『Vienna』

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「Mr.X」なんか『BGM』に収録されているような雰囲気。「CUE」の元ネタとなった「Passionate Reply」はやはりシンセベースリフとシンセのメロディが聴き馴染みある。

■M『Famous Last Words』

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テクノポップと言うべき80年代特有のミドルテンポのディスコチックなサウンド。4曲目「Yellow Magic」は高橋幸宏がドラムを担当。

 

以上。

*1:Over The Top細野晴臣命名した機械的な細かいビートを使ったドライヴ感のある音楽のこと。