当のゲーム自体はもうやらなくなってしまった。
実際、ゲームはやっていないにしろそのサントラは好きってことはそう珍しくはないだろう。もはや円盤化していない名曲を含むゲームも多々あるだろう。そうなるとゲーム機がプレーヤーとなる。かのインベーダーゲームなどの筐体ゲームはプレイするのにお金が必要だったが、ただそのBGMを聴くだけであればサントラの買い切りでずっと聴けてしまう。今や配信でゲームの音楽が聴けるのだから時代も変わったものだ。
―――ゲーム音楽の影響
例えば、クラブ系イベントを消費する層がオタク文化に流入してきたという風に書かれているが、テクノというのはかねてからオタク文化と親和性が高かった。 それはテクノポップの始祖・YMOの細野晴臣がゼビウスをサンプリングして『ビデオ・ゲーム・ミュージック』を製作したように、特に日本においてはゲームミュージックが源流にある。あの中田ヤスタカだって渋谷系音楽からの影響は否定するがゲームミュージックは素直にリスペクトする。それほど大きな存在であり、ピコピコに魅入られて音楽キャリアがゲームミュージックから始まっている人間は多い。 それゆえ、オタク文化への親和性は高く、90年代初期においてもアニソンやアイドル歌謡をテクノリミックスして遊ぶことは当然のようにあった。 そうでなくてもテクノ界隈の人間は宅録という手法がオタク気質に合っているなどと言われりしてオタク的な人間が多い。日本最大のクラブイベント『WIRE』を主催する石野卓球は根本敬を語りガンダムをネタにしキャシャーンOPのカバーした。テクノ系音楽の輸入に貢献した人間からしてこうなのだから後に続くものは推して知るべしである。
☟ゲーム音楽はヒップホップに影響を与えているという趣旨のnoteだ。これもまた面白いので一読すると良い。
Mixcloud
■OSTaku - 3rd July 2017
ニュー・エイジでリラックスできるダウンテンポなサントラミックスだ。良いミックスは原曲を知りたくなるが、これも同様にこんなにお洒落なアニメ・ゲームのサントラなんてあるのかと思うが、昔のSF系ゲーム(攻殻機動隊)とかデトロイト・テクノ勢としてデリック・メイを起用するぐらいだからあり得なくはない。
■Video Game Music Sounds Better With You - モ像Video Game Music Sounds Better With You - モ像
良くゲームのサントラを取り上げているモ像氏のミックス。
こうして聴いてみるとやっぱり昔のアーケードゲームのレースゲームとかシューティングゲームってレイヴ感のある曲が多いように感じる。リッジレーサーとか曲もゲームも楽しかった印象。
Album
―――YMOとゲーム・ミュージック
ところで,YMOが1978年にリリースしたファーストアルバム「イエロー・マジック・オーケストラ」には,アーケードゲームの「サーカス」や「スペースインベーダー」などのサウンドが収録されている。時間的にはこちらのほうが早いのだが,このときには,“ゲームミュージック”という捉え方はされていなかったようだ。
「楽器ではなく半導体から音が出ているところに注目したんだと思います。当時のYMOが使っていたのはアナログシンセサイザーだったと思いますが,それも音を出すのは半導体なんですよね。それを実現しているゲームというものに,メンバーが新鮮味を感じたんじゃないでしょうか」
実際,「サーカス」や「スペースインベーダー」のサウンドは主に単音の効果音で構成されており,BGMはない。「サーカス」でのミス時にはショパン作曲「葬送行進曲」が流れるように,メロディのあるフレーズもあるが,これらだけでレコードを作る発想は生まれなかったということだろう。
■細野晴臣『Video Game Music = ビデオ・ゲーム・ミュージック』
日本初のゲームのサントラ(1984年)で『ゼビウス』『パックマン』などの音楽作品をコンピレーションにした作品。まだ『スーパーマリオブラザーズ』が発売される前の作品である。
アルファレコードで忙しい日々を送っていた小尾氏は,ある出来事をきっかけに,ゲームミュージックに着目するようになった。
「アルファレコードのスタジオの待合室に,『ゼビウス』が置いてあったんですよ。それをみんながしょっちゅう遊んでるから,その音が聞こえてくる。
得も言われぬフレーズの繰り返し……ミニマルミュージックですよね。そこに弾の発射音が入ったりして。それを聞いていた細野さん(ミュージシャンで,YMOのメンバーでもある細野晴臣さん)が『レコードにしたら面白いかもね』と言い出したんです」
話を「ビデオ・ゲーム・ミュージック」に戻そう。このアルバムは,「ゼビウス」「パックマン」「ラリーX」など,ナムコが1980年から1983年にかけてリリースしたアーケードゲームのBGMや効果音を収録している。小尾氏が立ち上げたYENレーベルの作品だった。
「YENレーベルは,業界内の特殊なポジションにいるアルファレコードの中でも,さらに過激な方向を目指した,インディーズ的な位置付けで立ち上げたんです。私と細野さん,高橋さん(同じくYMOの高橋幸宏さん)で相談して,インパクトがあることをやろうと。メディアには,音楽だけではない,カルチャーを作っているような取り上げ方をされていたかもしれません」
筆者(黒川)は,「ビデオ・ゲーム・ミュージック」の制作・販売にあたり,どのような契約が結ばれていたのかが気になっていた。著作権法に「プログラムの著作物」が明記される1985年より前のことで,ゲーム業界も著作権に対する意識が薄かったことに加え,楽曲を作ったのは個人(たとえば「ゼビウス」の楽曲は慶野由利子氏が手がけた)であるからだ。
「その頃のゲームに関する著作物は全部会社が所有していたので,我々としてはナムコさんに著作権印税を払っていました。『ビデオ・ゲーム・ミュージック』のケースでは,原盤印税を支払わなくてよかったので,5%とか,そんなものだったと思います。普通は原盤印税だなんだで,さらに10%くらい上乗せされるんですけど」
ナムコ側は,「ビデオ・ゲーム・ミュージック」のリリースを非常に喜んでいたという。
「当時のゲーム業界は,エンターテイメント業界の中で少し下に見られていました。『ゲームセンターには不良が入り浸っている』といったイメージを持つ人も多かったですから。でも実際には,最先端の技術を使って映像や音,プログラムといった著作物を作っているわけです。
一方でレコードは,まさに“文化の器”として記録に残るものでしたから,そこに入れたことにナムコさんは喜んでいましたし,のちにお付き合いすることになったゲーム会社さんも,『スタッフの励みになる』と」
―――レイブカルチャー以降のゲーム音楽
なるほど。これがデトロイトテクノやハウスに影響を受けたゲーム音楽か。#YuzoKoshiro #MotohiroKawashima #mutekjp pic.twitter.com/GYZYh3PFZP
— Jun Fukunaga fka LC (@LadyCitizen69) 2019年12月12日
■リッジレーサーズ ダイレクト・オーディオ
ゲーム作品も良いが異様に音楽が良い。洗練されていてUnderground Resistanceのようなクールなテクノ揃いだ。特に「Disco Ball」の未来観ある感じと盛り上がりのある感じが最高。
2000年前後の作品は未来的モチーフの作品が多く、音楽もジャングルやドラムンベースなどのクラブカルチャーをフィーチャーしたような作品が多かった。
■FRONT MISSION ALTERNATIVE Soundtrack
イントロから惹き込まれるデトロイトテクノ的なコードとキュルキュル鳴ってるシンセのリフ、アシッド感のあるスラップシンセベースが最高。
■V.A.『ペルソナ4 ダンシング・オールナイト オリジナルサウンドトラック』
ペルソナ4ダンシングの楽曲をフル収録したリミックス作品。リミキサー陣は浅倉大介、小室哲哉、大沢伸一(MONDO GROSSO)、TOWA TEIでダンスミュージックとしてもオシャレな作品。
■C418『Minecraft Volume Alpha』
ゲームのサントラと言わず、アンビエント系のイージーリスニングとして最高の作品。若干低音の音が大きいが、オールディーズのジャズ作品のような趣あるメロディが良い。
■V.A.『風のノータム』
全体的にシンセサイザーを使用した80年代フュージョン風な作風。アンビエント的であり、昔の教育向け化学実験ビデオや社会学習ビデオのBGMのような印象。「Nature」良い。
■SUPERNAIVE『Dordogne (Official Game Soundtrack)』
ビョーク的なトリップホップにも聞こえるし、ドリームポップのようにも聞こえる。アンビエントテイストなサウンドが、郊外のホームセンターのQBハウスとかがある駐車場付近のフロアで流れていそう。イージーリスニングなサントラ。
■V.A.『塊フォルテッシモ魂』
「Moon & Prince」では演歌のあの新沼謙治がラップをしている。YTRのような雰囲気で声が渋い。他にも演歌歌手の松原のぶえや浅香唯が参加。松崎しげるの「愛のカタマリ」はエンディングテーマ。サントラとして作られた割には豪華で最高の音楽作品。
以上。