merzbow最高 pic.twitter.com/bogWw1k750
— ◯ (@no_repeat1993) 2018年11月20日
ノイズの代表みたいに自分は思われているのかもしれませんが、関係ないしどうだっていいです。メインストリームになるための努力も一切したいと思いません。
Merzbowは音楽をノイズで例える職人。Shazamで検索してもなかなか引っかからないのがこのジャンルだが、Merzbowは作品にコンセプトやらジャケットアートやタイトルなどにこだわりが見られて興味深い。
Merzbowと言えば台北で行われたライブにて狂ったように歯磨きをしながら興奮する男性が映っていたのが今でも面白い。
Merzbow Live in Taipei https://t.co/e2C7pl6gt0 @YouTubeさんから さっき言ってたMerzbowのライブにいる客がありえん形相と速度で歯磨きしてる動画です
— ◯ (@no_repeat1993) 2018年3月12日
リリース数も数多く、年間に何枚ものアルバムがリリースされたりリマスター版が出されたりする氏の作品をすべてコンプリートすることはほぼ不可能。
知り合った中で1番エグいコレクターだなと思ったのはMerzbow作品をV.A.や客演含め「全部」持ってて、レコード自体も数万枚あって、管理用にマンション持ってるって方だけど、普段SNSだとニッチな事じゃなくおばちゃん達とエクササイズとかしてる写真とか中心に上げてる素朴な感じが凄く好きです。
— 猫街まろん (@telepath_yukari) 2020年3月12日
☟『munemi house』というYouTubeチャンネルからリリースされたMerzbowの作品。どの盤にも収録されていない。ムネミハウスはMerzbowこと秋田昌美の自宅なのでおそらくオフィシャルリリース作品。羊の反芻動画でも見ながら眺めると良い。
アルバム
Morning
■Merzbow『Maschinenstil』
「Stormy Monday」とあるように憂鬱な月曜日の始まりに流しながら人の少ない国道や高速を運転しながら聴きたい作品。ノイズミュージックなので何も考えずにボーっとしながら負の感情を緩和しながら聴きたい。
■Merzbow『Door Open at 8am』
ノイズの巨匠Merzbowがフリージャズのトニー・ウィリアムスやジョン・コルトレーンをサンプリングしたノイズ作品。朝の目覚めに聴くと良い。
■Merzbow『Eureka Moment』
blacksmokerrecords.bandcamp.com
スローテンポからBPMが高まって変動を繰り返すビートが心地良い。けだるげな朝に良い。ビートテープ的な感じがするビートに炸裂するノイズが発破をかけるようになり続ける。タイトル通りイマジネーションに刺激が欲しい人には良いメルツバウ作品。
■Merzbow『Kaoscitron』
朝目覚めてから家を出るまでの間から聴き始めたい。Kaoscitron Partからはうっすらとビートのようなものが流れていたり、テープの引き延ばし音のような歪んだシンセのアブストラクトなサウンドが流れていたり、映画序盤の導入曲のような雰囲気。テレビから漏れる笑い声のような音がSEとして入っていたり。アンビエント的であまり騒々しくないのが新鮮。Boards of canadaみたい。
■Merzbow / Ladybird『Balance』
終始Merzbowのノイズがバッキングで入っている作品。80年代No Wave風な簡素なビートと最低限のメロディが演奏された歌モノで、「Floating Eloy|Netlove」はKraftwerkの「Computer Love」のカバーのようになっている。
■Merzbow『Fantail』
Merzbowにしては繊細なノイズが多い。パソコンの電子的なピンクノイズやらサインウェーブやらが多い印象。都内の階層の低いビルの非常階段を行き来しながらタバコ休憩してるような気分。
Noon
■Merzbow『Merzbeat』
比較的ポップなビート作品。ロック色が強いビート作品だが、ただビートにノイズを乗せただけではない。プログレのようにノイズが変化する。「Promotion Man」「Forgotten Land」はビート強めのロック作品。「Tadpole」はギターのブレークのピーク時の音を引き延ばしたようなイントロからノイズが雪崩れ込んでくる仕様。
■Merzbow『Merzzow』
全体的に音楽的な雰囲気の作品。「Elephant Song」「Music Machine」はロックのようなメロディアスな作風で「Humming Bird」はクラシカルな雰囲気で展開も相まって面白い。
■Merzbow『Merzbird』
Merzbow作品の中でも比較的ポップな作品。ビートがあって音楽的な感じがする。ロックにしては音がうるさ過ぎ、ノイズにしてはポップさが残るとのことでRYMでの評価は高くないが、個人的には逆にこの塩梅が丁度良かったりする。
■Merzbow『Hatobana』
ジャケに合うような作風で、どこかエキゾチックなトライバルな雰囲気を感じる。轟音のハーシュノイズと言うよりは、ノイズ要素を強めたアンビエントや民族音楽的な雰囲気で、ノイズをバックにパーカッションが映えたり、伝統料理店で店内BGMとして流れていても良い位のノイズミュージック。
■Merzbow 『Lop Lop』
ホールで演奏してるのかってぐらいリバーヴが凄い音響系ノイズ。「2 Guitars」ではギターソロのような音が聞こえてきたり、ライブパフォーマンス感が強い作品。
■Merzbow『Konchuuki』
ジャケが良い。ラップトップで作ったデジタルビートやリフにハーシュノイズが乗っかているスタイル。
■Merzbow『Merzbient』
1時間弱のトラックが複数存在する作品で、いつものエレクトリックなノイズと言うよりは昔のコラージュのようなスタイルで突然テープの切り貼りのような謎のメロディが鳴ったり、フィールドレコーディングのように犬の鳴き声やカラオケのように人の声が響く。アンビエントというよりサン・ラのような実験的セッションのような響きが全体にある。
Evening
■Merzbow『Catalysis=猫媒』
エレクトロニック・ジャンクと言うべき金属音のノイジーなパーカッションやパルスのようなノイズ。ハーシュノイズというより、実験音楽的なノイズが主になっている。
■Merzbow『Aka Meme』
ノイズと言うよりインダストリアル、コラージュ的で音楽的な印象。ビートテープとして捉えてもカッコ良い。「Nimmappa」なんか特にビートがカッコ良い。全体的にトライバルな雰囲気。
―――Merzbowのコラージュ作品
コラージュ作品が目立つのは80年代作品(一部90年代初期)が中心だが、後述『Amlux』の「Looping Jane」も『Merzbeat』にてリミックスされていたり、自身の作成したノイズをパーツ的に流用する傾向が見られる。
ここ読んでてメルツバウがあれほどの多作でありながら各作品の背景をしっかり管理、記憶し、素材も(稀に不明なものなどあるものの)後から再構成できる状態で保存していることの恐るべき偏執性を思い起こしたりした。 pic.twitter.com/2k7FQajlV0
— よろすず (@yorosz) 2023年8月16日
■Merzbow『Offering』
「Deep Sea」の波のうねりと遠くで鳴る花火のようなイントロ。打ち込みらしいビートも鳴っていて、映画のワンシーンのようなサウンドが続く。「The Light」では電気がバチバチ鳴るようなイントロから始まり、花火が鳴った後の余韻のような終わり方をする。
■Merzbow『Puroland』
サンリオでしか聞いたことのないピューロランドをタイトルにした本作(サンリオ的エッセンスは皆無)。40~50年代の実験音楽のようなエフェクトの後にプログレのようなギターで開幕。ノイズとギターのサンプリングで成り立った作品。
■Merzbow『Animal Magnetism』
ハードロックのようなリフがカッコ良い「Quiet Man」が最高。最後に沈黙が訪れる。低音ドローンから始まる港のような雰囲気の「Pier39」も良い。
■Merzbow / Genesis P-Orridge『A Perfect Pain』
「A Perfect Restraint」からクールな不協和音。以降ジェネシスのボイスとMerzbowのノイズが入り乱れるトラックが続く。「Source Are Rare」後半の、ジェネシスの語りが一切ない土砂降りの嵐の中のようなノイズが最高にクール。
■Merzbow『Antimonument』
タイトルからして仏教的かつコラージュ的作風。全体的に夕方までやってる工事現場の解体作業のようなサウンド。「Bardo Song」にて繰り返しのメロディが『抜刀隊』を彷彿とさせる。
■Merzbow『1930』
表題曲はスウィング・ジャズのドラムをもっと激しくしたようなスタッカートのノイズのリズムから始まる。次曲「Munchen」でも面白みのあるサウンドがイントロから流れる。
■Merzbow『Dadarottenvator』
タイトルの割にはジャズ感の無い「Necro Jazz Suite」の矢継ぎ早に展開していくノイズに、鶴田浩二の声をサンプリングした「Koji Tsuruta Had Big Grinder」はどこか劇伴のような音も聴こえ、途中の怒涛のビート明けの悪夢の盆踊りのようなサウンドが良いし、実験的な感じが面白い。
■Merzbow / Right Brain Audile『Music For Bondage Performance』
いつものハーシュノイズと違ったダークアンビエント的作品。インダストリアル感が強く、時折鳴る金属の反響音が廃墟の中の不気味さを表しているようで良い。「'Lost Paradise' Fire Scene」は静かな庭園を駆けているような鈴の音っぽい金属音。
■Merzbow / Right Brain Audile『Music For Bondage Performance 2』
前作とは打って変わって普通のMerzbowっぽいノイズ作品に仕上がっている。ただノイズを主体とした作品と言うよりその他のドラムやパーカッション、サンプリングなどにスポットライトが当たっている気がする。調味料的なノイズの使い方で、コラボ作品の時のようなノイズ感。
Night
■Merzbow『Pulse Demon』
Merzbowの代表作。気付いたら次の曲にシームレスに続くディストーションの極み。ノイズの効果音特集のような「Spiral Blast」から「Yellow Hyper Balls」の流れと、いきなり流れが変わってシリアスなサウンドを醸し出す「Tokyo Times Ten」。
■Merzbow『Amlux』
武満徹サンプリングの「Takemitsu」はイントロの琵琶リフが良い。「Looping Jane」はドローンのような低音が埠頭のような湾岸らしさがあって良い(アムラックスは豊島区東池袋)。「Luxurious Automobile (Krokodil Texas Mix)」も展開が多くて面白い。
■Reiko. A With Merzbow, Achim Wollscheid『Coruscanto - きらめく』
部屋を完全に静かにした後、夜中に聴きたい作品。序盤、悲鳴交じりのノイズのようなものが流れて驚くが、後半はドローンめいたノイズの中をかすかに聞こえる歌声のようなものをアクセントにした展開が待ち受けている。
■Merzbow『Vibractance』
ハーシュノイズではなくストイックなドローン。シンセからダーク・アンビエント的な低音が響いて展開していく。深夜の誰もいない立体駐車場のような、何かが起こりそうな感じでノイズが展開される。サスペンスやホラーシーンのようなサウンド。
■Merzbow『Arijigoku』
ノイズの轟音の嵐の中、炸裂するMerzbowのドラムセッションが最高の作品。ロックやパンクの盛り上がってるディストーションの部分だけ抜き出したようなジャンキーさが良い。
■Merzbow『Aqua Necromancer』
駐車場でアイドリング鳴らしてる中古車のようなノイズの冒頭のリフが心地良い表題曲からスタート。「Farsa Del Buen Vivir」はビートがカッコ良い作品で、エンディングがノイズの反響で終わるのがクール。
■Merzbow『Dharma』
昼寝して起きたら真っ暗だった時の頭痛と虚無感を感じる夜に聴き始めると良い。サイコ映画のOPのような「I'm Coming to the Garden... No Sound, No Memory」。ラップトップ・ノイズ中心のためスッキリした印象。
■Merzbow『Ikebukuro Dada』
夜、首都高を1人で沈黙の中走行する際に良い。孤独が似合うサウンド。何も無い夜、ただ静かな時を過ごすのに良い。周りの灯りを感じさせない暗闇の作品。
■Merzbow『Senmaida』
リズミカルなノイズが続く。ゲームのBGMのような雰囲気で、地下迷宮で延々とモンスターと銃撃戦を繰り広げてるような雰囲気。Track2からは打って変わってジャングルの中のような動物の鳴き声とざわめきのノイズが始める。
■Merzbow『Frog+』
全体的にはコンピュータノイズっぽい、エラーを起こしたコピー機のようなサウンドが特徴。「Pilgrimage To Puroland」と同じサンプリングをラストに持ってきた「Kaeru No Shima」に、カエルの鳴き声のようなイントロから始まる「Catch-22」。
コンピレーション
■Merzbow『24 Hours - A Day Of Seals』
Disc-1
おはようからおやすみまでをお送りするMerzbow作品。いきなり「Good Morning Azarashi」である。鈍い低音ノイズが続く中、効果音的にノイズが演出される。朝っぽいトラック中心。
Disc-4
ヘビメタのようなイントロから一転して静寂になって、そこからさらにノイズのパラダイスが始まる「Moon Jelly Fish」。のっそのっそと繰り返されるリフが心地良い「Walrus Band」。タイトルだけあってごま塩ノイズな感じの「Goma」。イントロがブラックメタルみたいでカッコ良い「Child Of Dream Sea」。
■Merzbow『Early Sessions 1979-1981』
Hyper Music 1 Vol.1
初期のアヴァンギャルドな時期のクラフトワークみたいなサウンド。言い換えれば、サン・ラのセッションのようなジャム感もあるが、それよりはシンプルな感じがする。
23 November 1979 (B)
サン・ラのジャムセッション的な感じでオルガンと不規則なドラム。
Por#1&2 Vol.1
シンセが消え、リズムのないフリージャズのようなドラムにギターが加わったデレク・ベイリーみたいな作品。
Por#1&2 Vol.2
ドラムが主張しない作風で、なにやら雑音の上を灰野敬二のようなギターが鳴る。3曲目ではラジオが流れる。
☟下記レビューがより詳しく書かれているのでこちらを読んだ方が良い。
Cretin Merz
1曲目はフリージャズよろしく荒唐無稽に聴こえる。シンセを引き慣らしている裏でポコポコドラムがうっすら鳴っている。ノイズの嵐みたいなのもコラージュ的な音でテープ流してるような感じの音。2曲目ではドラムが結構主張してくる。ノイズが一定。
Telecom Live
バイクのモーター音やら工事現場の音みたいなのはテープ音声か?ラジオニュースのような女の人の声も聴こえる。下手くそなバイオリンみたいな音に、サン・ラみたいなシンセは健在。テープが序盤の音楽とか手作りのお化け屋敷のBGMに良さそうなおどろおどろしさ。
■Merzbow『Merzbox』
Mechanization Takes Command
全体的に民族音楽っぽいサウンドのコラージュミュージック。ビートが心地良い「Peaches Red Indian」が印象的。聴きやすい。
Music For True Romance Vol. 1
全体的に『抜刀隊』のようなテープミュージックっぽい雰囲気。激しいドラムロールのテーマから、どこかの民族音楽チックな「Mystic Cave」。ドローンのような「She Floating」。鬼気迫るノイズとドラムロールの「She Mutilation」。歌謡曲やら軍歌をコラージュしたような「Injured Emperial Soldiers Marching」は迫力があって気分がクソの時に良い。
Brain Ticket Death
「Metal Of Doom」から待ってましたと言わんばかりのノイズが流れる。タイトルにもあるようにBrain Ticketをサンプリングして作られている。表題曲は30分強あるが『Pulse Damon』並みに聴いていてボルテージの高まる90年代Merzbow作品らしい雰囲気。
以上。