1.Konrad Boehmer『Acousmatrix』
コンピューターに適合しないデータを挿入した時に吐き出すエラー音のようなものが延々と続くアルバム。水の中にいるようなコンピューターのピコピコ音や、短いノイズ音が良い。静かすぎて体内の神経の音が聞こえてくるような、静寂を聴いているような感じがする。
2.Lucrecia Dalt『¡Ay!』
地盤工学の技師でもある氏のモンド感が強い実験音楽作品。歌モノ多めで聴きやすいが、古いモジュラーシンセのような効果音や、昔のジャズのような生演奏が入り混じって年代不詳な印象がある。
3.Pauline Oliveros『Reverberations: Tape & Electronic Music 1961-1970』
1曲1曲の長さがえげつない。全11時間越え。人の笑い声らしい声や何かを叩く音がサンプリングされていたり、エレクトロニック・ミュージックと言ってもオープンリールのテープを物理的に加工したりしたようなアコースティックな雰囲気。ただアコースティックなもので長尺ながらも刻々と変化があって何かが表現されている感じがある。
4.Deuter『D』
クラウトロックっぽい怪しさとプログレ的な展開の多さ。ガラクタ箱を漁るような雑音と不協和音のハーモニーが最高。
5.Philip Johnson『Youth In Mourning』
サウンドコラージュ的なフィールドレコーディングにラップやただぼそぼそ話してる声が乗ってるトラックが多い。ぼんやりとした昼下がりに聴きたい。
6.Yoonkee Kim『Junalis』
シンセサイザーと簡素なDTMビート。トライバルな笛やパーカション、ピアノで構成されている。Hair Stylisticsみたいな感じ。
7.Fabio Fabor『Pape Satan』
圧倒的ピコピコサウンド。モンド系サイコ映画の劇伴のような奇妙なシンセのメロディが続く。ジャジーなパーカッションにファミコンのようなチープな音が散りばめられていて、もう永遠にこの音を聴いていられそうな感覚に陥ってくる。
8.Fripp & Eno『No Pussyfooting』
長く鈍い低音のドローン・アンビエント的な感じのサウンドの上をギターが舞うThe Heavenly Music Corporationに電子的なリフに徐々にギターが入ってくるSwastika Girls。ギターに始まってギターに終わる作品。
9.Shuta Hiraki『A Wanderer』
時代や季節、空間を音として記した古い日記のような、1曲1曲ごとに毛色は違えど全体を通してシームレスな変化を楽しめる作品。フィールドレコーディングのようなエスノのような、ジャズのような、落ち着いた空間で響きを共感したくなる作風。
10.Attila Csihar『Void Ov Voices : Baalbek』
ヘヴィメタミュージシャンによるドローン・ドゥーム作品。レバノンの遺跡にてフィールドレコーディングした宗教チックなエネルギーを感じる作品。地獄の底のようなうねる低音に時折聴こえる人の声がマントラを唱えているよう。
以上。