でもあえていえば、特に1960年代、子供の頃にテレビや映画、ラジオから受け取った音楽とコメディがわたしのルーツです。その多くは日本で「歌謡曲」と呼ばれていた20世紀の日本にしか存在しなかった異形のポップスです。そうした日本の音楽には、アメリカのポップスやジャズ、ラテン音楽やロシア民謡、ハワイアン、中国音楽等々の要素が、パワフルさと繊細さ、ときにとんでもない無神経さで日本の音楽の中にはいりこんでいて、大混乱をきたしていました。幼少時の無防備な身体にこの音楽の直撃をうけました。当時の日本を代表するコメディバンドであるクレージーキャッツは写真を見ただけで、今でもうきうきしてきます。
下記のまとめでも取り上げたが、筒美京平の音楽はどれもワクワクする。
60年代から90年代まで30年近くヒットソングを連発している。もはや日本の大衆音楽が歌謡曲からニューミュージックに移り、J-POPと呼ばれるようになるまでの時代を築き上げている。
―――同じ歌謡曲でも当時と現在では評価が異なる
カラオケスナックで70-80代の常連さんやママさんと会話するようになって気づいたのは、同じ時代の「歌謡曲」でもリアタイ世代と後追い世代でウケる曲が全く違うということ。リアタイ世代の評価が極めて高い春日八郎や美空ひばりや島倉千代子、後年の世代の方がむしろ評価している笠置シヅ子。
— かねひさ和哉 (@kane_hisa) 2023年9月8日
―――J-POP以降、日本の音楽に大きな進化は無い
111 名前: キウイ(東京都)[] 投稿日:2008/11/01(土) 16:21:51.54 ID:0Y/Ce9N9
じゃあどこで死んだか考えてみようか【60年代】
エレキ・ブーム(ベンチャーズ)
グループ・サウンズブーム(ザ・タイガース)
↓
【70年代】
テクノブーム(YMO)
パンクブーム(東京ロッカーズ)
ロカビリーブーム(横浜銀蝿、キャロル)
第一次バンドブーム(サザンオールスターズ)
↓
【80年代】
矢沢栄吉、山下達郎、浜田省吾
ハードロック・メタルブーム(44マグナム、アースシェイカー、聖飢魔Ⅱ)
ロックブーム(尾崎豊、BOWY)
ホコ天・イカ天ブーム(The Boom、たま)
第二次バンドブーム(ブルーハーツ、筋肉少女隊)
↓
【90年代】
ビーイング系ブーム(Zard、WANDS、B'z)
小室ブーム(安室奈美恵、globe)
トイズファクトリーブーム(ミスチル、マイラバ)
ヴィジュアル系バンドブーム(X、グレイ、ラルク)
つんく(ハロー!)プロジェクトブーム
↓
【00年代】
ヒップホップブーム(DA PUMP、KICK THE CAN CREW、RIP SLYME)
青春パンクブーム(ハイスタ、モンゴル800、ガガガSP)
文系ロックブーム(バンプ、アジカン、レミオロメン)
下記はヒャダインこと前山田健一のインタビュー記事だが、確かに当ブログで紹介している音楽はJ-POP以降のものが多く、時代を感じる懐かしさはあれど、令和の音楽でも00年代っぽいとか90年代っぽいとか、音楽のメロディ的にベーシックは変わっていない感じがする。
80年代はシンセサイザーを用いたニューウェーブと呼ばれる音楽が流行し、90年代は渋谷系や小室ファミリー、ビーイング系、00年代にはそのすべてを包括するようなガラパゴス化を果たしたように思える。実際、00年代初頭はネオ渋谷系をはじめ、下北系・ロキノン系などのバンドが台頭したが、それらは90年代にはデビューしており、ほぼほぼ要素は揃っているように思える。また、10年代からはリバイバルがブームとなり、20年代からはY2Kブームとしてリバイバルを続けている。
前山田さん:
うーん……。でも実はJ-POPって,メロディ自体は20年ぐらい前からそれほど変化してないと思うんですよね。さすがに1970年代の歌謡曲を聴くと,メロディが古いと感じることはあるんですけど,20年ぐらい前のものはサウンド自体が古いことはあっても,メロディは変わっていないかなって。
仕事で作っているキャッチーなメロディというのも,僕が十代の頃に聴いてきた音楽から影響を受けていますし,それを2010年の機材と音でやっているから,2010年の作品に聞こえるだけじゃないかと思います。
下記記事で令和の歌謡曲についてまとめたが、歌謡曲についてもリバイバルとは言わないものの、エッセンスとして現在のポップスにも受け継がれていることがわかる。
―――音楽だけでなく、音自体にも時代、風情が籠っている
レコードで聴くと音が若干温かいというか、その場で演奏しているような生感があるが、ある意味瓶で飲むコーラが上手く感じるのと同様、趣を聴いていると言っても過言ではない。
今の時代デジタルでいくらでも音楽を大量消費できるのに、レコードやカセットなどの音質が劣化しやすいメディアが若年層でブームになっているようだ。ジャケのオシャレさ、パッケージの可愛さなど、音楽だけでなくその他の要素で見ても趣を感じているように思える。
後年マスタリングされた音源を聴くと、音楽によっては空間がすっきりし過ぎてしまい、クリアになって聴きやすく、音圧は高まったはずなのに、どうしてもスカスカな感じに聴こえてしまうことがある。当時のくぐもった音像がその隙間を満たし、空気感を感じさせていたのかもしれない。もしかすると、そのマスタリングで失われたものは空気であり、趣なのかもしれない。
細野 音響ってすごく大事なんだよ。例えば僕は昭和歌謡が好きなんだけど、昭和30年代に流行ったレコードを聴くとすごくいい音なんだよね。でも、その人たちがのちのち原曲をリアレンジして、新たにレコーディングしたものを聴くと最悪なんだ。いい曲と思えないわけ。曲は一緒なんだよ? 音で変わっちゃうんだよ。だから音響っていうのはすごく大事。
歌手
小林旭
駄洒落めいた「恋の山手線」に「自動車ショー歌」も愉快だが、一際独特な雰囲気なのが「宇宙旅行の渡り鳥」。サイケガレージ的な感じでこぶしとリバーヴが効いたボーカルが最高。
前川清
■前川清『前川 清 スーパープレミアムボックス』

Disc1ではクールファイブ時代の楽曲で構成。往年の名曲「長崎は今日も雨だった」からスタート。やっぱり日本人の心に響く。ソウルフルな「そして、神戸」はサビの声量が最高。「東京砂漠」も渋い。坂本龍一がドラムまで叩いた「雪列車」はYMOの隠れたソトシゴト。
森進一
笹船のようにそっと置いてはゆっくり流れていくボーカルが温かく優しい。
■森進一『森進一スペシャルセレクション ~コラボレーション・ベスト~』

吉田拓郎の「襟裳岬」もホーンでアレンジされ、濃厚な歌い方になっている。谷村新司作曲の「悲しみの器」はしんみりするピアノに、アコギのソロパートとスっと入ってくるドラムが良いアクセントになっている。聴いただけで長渕っぽいとなる「狼たちの遠吠え」も渋くて声質がマッチしている。サルヴァトール・アダモによる「甘ったれ」もラテン感あってオシャレ。「冬のリヴィエラ」もやはり名曲。つんく♂の「夜の無言」はポップスっぽい曲調。
■森進一『Love Music』
昼ドラの刑事ドラマや純情ドラマで流れてそうな雰囲気。落ち着いた盤劇もドラマチックで良いが、寒さの中で凍えるような森進一のボーカルがとても良い。
流行歌
流行歌と演歌、歌謡曲の違いはいまいちわかりづらい。素人調べのため専門的な部分は問えない(正確な情報であるかどうか約束できない)が、ざっと下記に「流行歌」についてをまとめてみた。輪郭を掴む程度に理解するための個人的なメモである。

大域的に、流行歌と言われるものが当時のヒットソングを示すものではあるが、ジャンル・ムーヴメントの一旦として扱うのであれば、昭和初期までの大衆音楽は「流行歌」として取り扱われ、同時に「歌謡曲」という名称も使われるようになりこちらが一般化する。その後、戦後のスナックなどの「流し」で歌われる一部の楽曲を「演歌」と呼称し、歌謡曲の1つとして広まる。
歌謡曲という呼称は一般的にはJ-WAVE以前の楽曲を示す。こちらについては下記のまとめでも触れているのでこちらを参照して欲しい。
「紅白を見たらロックが演歌のポジションに来ていた」発言があまりにバズっているので、もう少し歴史的なことからきちんと書いておく。そもそも「演歌」というのは、古い音楽のように思われているが、形が定まったのは1960年代。そして1970年代に全盛を極める。つまりかなり新しい流行歌。
— ぼのぼの (@masato009) 2023年1月4日
■雪村いづみ + 服部良一 + キャラメル・ママ『Super Generation = スーパー・ジェネレイション』
「ヘイヘイブギー」「東京ブギウギ」など笠置シヅ子多め(どの曲もアップテンポで明るく素晴らしい)。戦前・戦後の名曲をカバーしている。バックバンドはキャラメル・ママ(細野晴臣がベースで参加)。
■ Club Nisei Orchestra『Sayonara Farewell Tokyo: Souvenir Songs of Japan』
ハワイ日系ニ世によって編成された、第二次世界大戦後の1950年を中心に活躍したグループ。エキゾチカな雰囲気のある作品で、細野晴臣もトロピカル三部作にてカバーしている「JAPANESE RHUMBA」「“Sayonara”,The Japanese Farewell Song」も収録。その他、笠置シヅ子の「東京ブギウギ」や「炭坑節」のカバーも収録。
■Various Artist『LONGING FOR THE SHADOW: RYUKOKA RECORDINGS, 1921-1939』
戦前の音楽だが洋楽と日本の伝統音楽の中間のような雰囲気が良い。100年前近い音源が現代になってサブスクで視聴できるという点がかなり面白い。音楽の発展が堪能できる良い作品。
日本のレコード業界における初期段階で出現した「流行歌」を収めたカセットが登場! 西洋のクラシック、ブルース、ジャズの要素を日本の伝統音楽とクラシック音楽に取り入れた流行歌。本作に収められた1920年代と30年代のコレクションは、数年前にリリースした小唄勝太郎のテープに続くものであり、文化的融合が始まったころの独特ともいえるスタイルを見事に収めている。
歌謡曲
■ 石原裕次郎『裕次郎と貴女の夜』
石原裕次郎が曲の前後でこちらに向けて話しかけてくる。そのせいか自分のために歌ってくれているような感覚に浸れるし、ボイスドラマ的な疑似恋愛シチュエーションっぽい。歌は硬派な歌謡曲って感じだが、曲によっては物凄いエコーが掛かっていて洞窟で歌っているような感じ。昔ながらの大衆居酒屋に入った気分になる。
■ハナ肇とクレイジーキャッツ 『クレイジーキャッツ コンプリートシングルス HONDARA盤』
全曲明るい盆踊りみたいなものばっかりで、サラリーマンソングみたいなのが面白いし勇気付けられる。最近の国内の応援ソングみたいな奴なんかよりもよっぽど良いし、気分が優れる。コミック・ソング的でもブルースのようにも思え、ある意味働く男の悲哀を歌ってるけど悲しいという感情は緩和されるのだ。
■内田裕也『さらば愛しき女よ』
映画主題歌のような「さらば愛しき女よ」は名曲。YouTubeにて、暴力団の中でステップを踏みながらこの曲を歌い上げる内田氏の動画は消されても何度もアップロードされる。ほぼ酩酊状態のようなボーカルの「湖中の女」も独特過ぎて中毒性高い。
■根津甚八『火男』
プレミア価格となっているし、レコードだと帯が異常に太すぎる。冒頭「Taxi-Driver」から渋い。のんびりさすらいの旅に出る男のような、当てなくドライブするような雰囲気がある。全体的にのんびりしたような、散歩しているかのようなテンポの楽曲群。
ムード歌謡
■渥美マリ『夜のためいき』
全体的に普通の歌謡曲って感じだが、女性の哀愁漂う情緒的な歌詞が多く、上品でセクシーな雰囲気。「好きよ愛して」はムード歌謡って感じで艶めかしい歌い方とコーラスが印象的。「女の唇」とか良い。
■Emma Sugimoto (杉本エマ)『Emma Is Love –エマは愛』

「好き」からフィンガー5みたいなロックンロール。だが笑いながら軽く歌っている雰囲気がアメリカン。その他は色っぽい大人っぽい歌い方で上品な歌謡曲。「淋しいから」とかセクシーな雰囲気のジャズ。
―――お色気歌謡(18禁)
ここからはほぼ耳で聴くAVである。喘ぎ声やら艶めかしい声がわんさかSEのように盛り込まれている。音楽に偽装したそういう目的の音楽と言っても過言ではない。
■川原正美とエキゾティック・サウンズ『恍惚/エクスタシー (Ecstasy)』

軽快なモンドミュージック的なパーカッションやジャズのインストに紛れて喘ぎ声が聴こえてくる作品。歌一切なし。タイトルままの内容。音のみのAVみたいな、今で言う催眠音声に近い。SM風の鞭の音も聴こえてくるし、パーカッションに連動してヒートアップしたりする。
■Sandra Jullien『セクシー・ポエム = Sexy Poem』

ジャケがヌード。電話越しの音声みたいなやつの後に艶かしいフランス映画みたいなサウンドとリバーブ強めなボーカル「モノローグ~ジュテームはさよならの始り」。拙い歌というか日本語が妖しくて良い。「経験」は歌謡曲って感じがして哀愁漂う。「セックス・オン・ステージ」では軽い劇みたいなのが入るし、タイトルままの「ライブ・セックス」も謎のBGMがフェードインしてくる。
■池玲子『恍惚の世界』

ジャケがもう出てしまっている(モザイク処理済み)。カバー曲多めだが、エロチックカバーと言うべき全編に渡って最初から最後まで喘ぎ声。
■ 畑中葉子『白日夢』
「後から前から」はセクシーすぎる妖艶な歌い方と歌詞。山口百恵カバーの「横須賀ストーリー」はセリフまでついていて囁くような声がまた妖しい。「もっと動いて」はさらに妖しい。「モア・セクシー」は歌じゃなくてもはやエロ。ここでも「経験」がカバーされている。
■V.A.『幻の名盤お色気BOX』

前述のサンドラや池玲子のトラックも収録されていて、お色気歌謡のコンピレーション作品となっている。ジャケのコラージュ的な感じも味があって良い。
カバー作品
■ 中西良太 & 吉田光希『China Baby In My Arms ......Ryoichi Hattori Songs』

服部良一作品のカバーコンピ。清水靖晃によるアレンジで洗練されたシックな雰囲気に仕上がっている。ボーカルもある種の向き質感が様になっていて、全体的に百貨店で流れていそうなラウンジ感がある。
■巻上公一『殺しのブルース』

トニー谷や小林旭、フォーク・クルセイダーズやジャックスといった50~60年代の歌謡曲をおしゃれにアレンジした作品で、9曲目の「うつろ」以外はカバー。バックメンバーが豪華で、プロデューサーがジョン・ゾーン。マスタリングにボブ・ラドウィック。ギターにマーク・リボー、灰野敬二。ベースにビル・ラズウェル。ドラムにソニックユースのスティーブ・シェリー。こだわりが凄くてトラック自体に圧倒される。
■哀秘謡『哀秘謡』

60〜70年代の歌謡曲や童謡のカバー作品。1曲目「いとしのマックス」は灰野らしくない軽やかさのあるフラメンコのような曲で、メロディアスな感じがする。以降はほぼ不失者のようなサウンド。間の使い方が最高なカバー。常に静寂で灰野の声さえもはや楽器である。
■遠藤賢司『エンケンのミッチー音頭』

青山ミチ「ミッチー音頭」を豪華メンバーでカバーした作品。戸川純、奥田民生、近田春夫、森若香織、野沢直子、ケラらが参加。
以上。


