Patchwork Dream

随時、記事の加筆・修正または再掲載します。

論文のすゝめ

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論文と言えば、大学研究室所属時代やたらJ-StageやらCiNiiを見て回った記憶がある。
技術的な面において、自分ができるかできないかという点は悩む必要はなく、最初は何がやりたいかというところに焦点を当てる必要があった。テーマ探しに苦戦した挙句、頭の中に思い浮かんだキーワードを記録し、関連ワードから記事を探すところから始めた。こういうのが怖いのは、自分が研究してる途中にどこかの団体が真相を究明して解法を提示してしまうことだ。ある意味鮮度が重要だ。

上皇陛下が新種のハゼを発見したというのがかなりインパクトのある記事だったが、やはり教養と意欲のある人は強い。

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また、論文と言えば以下のようなエピソードがある。
殺人罪で25年の刑が下り、現在服役中のヘイブンズの論文だ。
高校中退、麻薬中毒で仕事も家庭もない人物だが、服役中に数学に目覚めたことからジャーナルに論文が載るようになったのだ。

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出典:https://www.dw.com/en/murderer-solves-ancient-math-problem-and-finds-his-mission/a-53895884

関係者の皆様へ、個人的に「Annals of Mathematics」を購読する方法について知りたいのですが、どうすればよいでしょうか? 私は現在、ワシントン州矯正局に25年服役していますが、この時間を使って自分を磨きたいと考えています。今は微積分と数論を勉強しています。数学雑誌の情報を送ってくれませんか? クリストファー・ヘイブンズ

nazology.net

面白い論文

・松尾豊 (2006年) なぜ私たちはいつも締め切りに追われるのか, 人工知能学会論文誌 Vol.21, No.1

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http://ymatsuo.com/papers/neru.pdf

・板屋民子 (1992) 発光する玉子焼にぎり寿司から分離した発光細菌の検討, 食品と微生物, Vol.8, No.4, pp.203-212

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https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsfm1984/8/4/8_4_203/_pdf

・Andrew Reid Bell (2021) From Mario Kart to pro-poor environmental governance, Nature Sustainability, Vol.4, pp.376–378

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www.nature.com

・熊谷 学而, 川原 繁人 (2019) ポケモンの名付けにおける母音と有声阻害音の効果
―実験と理論からのアプローチ―, No.155, pp.65-99

https://www.jstage.jst.go.jp/article/gengo/155/0/155_65/_pdf/-char/ja

嘘を嘘であると見抜けないと難しい

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コロナ禍ではフェイクニュースと思われる情報が錯誤したが、今でも真偽不明のデマに騙されないように政府から注意勧告が与えられているのもよく見かける。
オイルショックを彷彿させるトイレットペーパーの買い占めや高額転売されるマスクなども今や過去の話だ。医学的根拠のない主張をする人は多くいるが、そんな中下記の論文が投稿されたという。
新型コロナウイルスパンデミックポケモンズバットの食用消費と関係があるとする論文だ。明らかに嘘とわかるが、これが正式な論文として掲載されてしまったのだ。

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Cyllage City COVID-19 Outbreak Linked to Zubat Consumption

このように内容をしっかり確認せずに掲載、通してしまうことを捕食出版と呼ぶらしい。これは正式に情報が処理されない、処理しない学術誌及び団体を批判しているのだ。

gigazine.net

―――ソーカル事件

数理物理学者のアラン・ソーカル氏がSocial Textというポストモダン構造主義)を扱うジャーナルに寄稿した『境界を侵犯すること:量子重力の変換解釈学に向けて』であるが、実態はデタラメな数式や専門用語を並べただけの怪文書だった。それを編集者が見抜けなかったために査読の審査をすり抜けてしまったのである。

ソーカルポストモダン思想家の文体をまねて科学用語と数式をちりばめた「無内容な論文」を作成し、これをポストモダン思想専門の学術誌に送ったところ、そのまま受理・掲載された。その後ソーカルは論文がでたらめな内容だったことを暴露し、それを見抜けず掲載した専門家を指弾するとともに、一部のポストモダン思想家が自分の疑似論文と同様に、数学・科学用語を権威付けとしてでたらめに使用していると主張した。

論文の発表につづいてソーカルは、フランスのポストモダン思想家を厳しく批判する著作を発表し、社会的に大きな注目を浴びた。

ja.wikipedia.org

☟原文

https://physics.nyu.edu/faculty/sokal/transgress_v2/transgress_v2_singlefile.html

本人を含む学者たちが嘘と主張したのだが、ある意味では胡散臭く誰も真意がわからないような駄文を批判するのに一石を投じたと言える。彼は『「知」の欺瞞』なる書籍を出版している。

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「知」の欺瞞――ポストモダン思想における科学の濫用 (岩波現代文庫) 文庫 – 2012/2/17 アラン・ソーカル (著), ジャン・ブリクモン (著), 田崎 晴明 (翻訳), 大野 克嗣 (翻訳), 堀 茂樹 (翻訳)

www.amazon.co.jp

―――ハゲタカジャーナル

著者が論文投稿料(APC=Article Processing Charge)を支払い、だれでも自由に論文を読むことができる、いわゆる「オープンアクセスジャーナル」のビジネスモデルを悪用した雑誌です。

www.hiroshima-u.ac.jp

―――データで騙す手法

☟けんけん氏がまとめているnoteだが、視覚情報は一番最初に入ってくる情報であるため、グラフに惑わされて真意を見失ってしまうことが多いことがわかる。

note.com

あと思い出すところで言うと、ジョークの一種であるDHMOだ。

DHMOとは、

水酸と呼ばれ、酸性雨の主成分である。
温室効果を引き起こす。
重篤なやけどの原因となり得る。
地形の侵食を引き起こす。
多くの材料の腐食を進行させ、さび付かせる。
電気事故の原因となり、自動車のブレーキの効果を低下させる。
末期がん患者の悪性腫瘍から検出される。
その危険性に反して、DHMOは頻繁に用いられている。

工業用の溶媒、冷媒として用いられる。
原子力発電所で用いられる。
発泡スチロールの製造に用いられる。
防火剤として用いられる。
各種の残酷な動物実験に用いられる。
防虫剤の散布に用いられる。洗浄した後も産物はDHMOによる汚染状態のままである。
各種のジャンクフードや、その他の食品に添加されている。

ja.wikipedia.org

いかにも危なっかしい物質のように取り扱われているが、正体は水である。このジョークのミソは一つも嘘を言っていないという点だ。

 

以上。