やるせない気分の時、実験音楽っぽいものやジャズを聴くとある程度落ち着くが、かえって気分に作用して落ち込んだり暗くなったりすることもある。そんな時、テープ・ミュージックはあまり感情的でない音楽というか、情緒的なものからかけ離れている音楽と言える。ノイズも同じく、Hair Stylisticsのような音楽も気分の上げ下げに関係の無い精神安定剤のような効果がある。
1.Yoshinori Sunahara And Hibiki Tokiwa『Limited Edition Not For Sale』

全編に渡って砂原良徳っぽいサンプリング&スポークンワード。脈絡のないジャンルレスなトラックながら機内放送のようなラウンジ感がある。と思いきやおもちゃ箱みたいな謎のアニメ音声みたいなものまで。
2.Infinity Matanity『Neighbors Specimen』
かなりアングラ感が凄い。オシャレ度の高い暴力温泉芸者っていう雰囲気。ビートが結構癖になるが、別名で発表している下記のヒップホップ作品も最高だ。
1~2分程の短い楽曲が集まった実験的な作品。「Git L9」ではアコギの音色が堪能できる。後半はアンビエント的な印象が強い。
4.Information Society『Hack』
90年前後っぽいハウス、ユーロダンスでドラムマシンのチープな雰囲気のリズムが良い。ローテンポのピーヒャラピーヒャラみたいなメロディが癖になる「Fire Tonight」。普通に隠れた名曲「Mirrorshades / We Don't Take」。テクノジェームス・ブラウンみたいな、リフが癖になる「Hack 1 / Charlie X」。
5.Hashirat『Her Animal』
イントロが20分あるという狂気。深層WebのSad Satanで流れてそうなノイジーで音質の悪い音楽が流れる。ポップさのあるOPNみたいな感じ。ケチャが流れて来たり、民族的な祭典みたいな音がする。
6.Christian Marclay『Stop Talk』

ヒップホップとは別タイプのレコードプレイヤー。昔のラジオをザッピングしているような雰囲気。展開が目まぐしく移り変わり、スポークンワードっていうよりはテープミュージックの印象が強い。
7.Bernard Bonnier『Casse-tête』
子供の騒ぎ声や電子音など、様々な声が入り混じった作品。ジャンルレスでメロディはないものの独特のグルーヴ感が生まれている。ビートがあるのでそれなりに聴きやすく仕上がっている。ラストの「Soldier Boy」は11分強あり、ミュージック・コンクレート感も強い。
8.RED BURNS『Standing on the Corner』
standingonthecorner.bandcamp.com
ヒップホップ的なスポークンワードに加えてジャンルレスな音楽が雪崩れ込んでは去って行くのを繰り返す。知らぬ間に別の展開に代わる目まぐるしいザッピング感よりも白昼夢に耽りながらボーっと過ごす寝ぼけまなこの白い空の昼過ぎのような雰囲気。雲がゆっくり流れ去っていくように自然に展開が移り変わって、それでいてうるさ過ぎずしつこ過ぎない。
9.Henri Pousseur & Michel Butor『Paysages Planétaires』

完全にミュージック・コンクレートだが、夜の小川流れる森林付近を散策しているみたいな音から開幕。遠くで鳴っている音のように、音がするのに静寂。深夜徘徊のBGM。電車の音やレコードの音声などが入り混じった、底の見えぬ音の沼から湧いてくる泡のように様々な音が入り乱れ消えていく。
10.Asleep Country『LUX』
トータルで8時間以上ある異常な長さ。ポスト・ヴェイパーウェーブと呼んでも過言ではないのではという作風で、タグには"anime industrial"とある。Vaporwaveのみならず、インダストリアルやミニマリズムにも通ずる実験的な要素が多い。
以上。