雅楽って朝聴いても昼聴いても夜聴いても心が安らぐ。
病んでいる人にぜひ聴いて欲しい。クラシックと同じで、鬱にも躁にも効くんじゃないかってくらい心が凪になる。でも雅楽はやっぱり日本人の心を揺さぶる何かがある気がして、どこかワクワク・そわそわした気分になる。
1．日本雅楽会『Gagaku Japanese Court Music』
オーソドックスでシンプルな雅楽を堪能できる作品。全体を通して人の声らしきは聴こえず、響きと間。序破急のみがそこに介在する。
2．宮内庁楽部『Gagaku - Etenraku / Azumaasobi / Kishunraku / Seigaiha』
どうやら雅楽で最もポピュラーな作品は「越天楽」と言われるものらしく再生数も多く長い。試しに、帰宅時に聴きながら帰ると、移動中の人混みでは乱れるものの、気持ち穏やかに帰宅することができた。「東遊〜求子歌」は人の声が聴ける謡物。
3．Ono Ensemble『Japon = Japan: Gagaku.』
1887年に東京・小野照崎神社の宮司・小野良道によって創設された日本最古の民間雅楽団体によるアンサンブル。同じように1時間ほどの尺のはずなのになぜかあっという間の体感。音が美しい。
―――現代雅楽
4．どんぶらこ『けもの』
石田多朗とオオルタイチによって始まった雅楽プロジェクト。「骨歌」では野外レコーディングのため風の音まで録れてしまっている。30分に満たないEP作品だが、快晴の朝に聴いて目覚めたい作品。
5．Mayumi Miyata, Midori Takada『星雲 = Nebula』
笙の音色とパーカッションによる現代クラシック。初めはブライアン・イーノのようなアンビエントテイストと思ったが、そこからしばらく雅楽的な音色が始まる。
6．Desuka『Desuka first EP』
かなりスカムな録音環境でBoredomsみたいな音質。かなり実験音楽的なアプローチでありながら、バイオリンや笙、何やらの金属音などのパーカッションが鳴っている。雅楽を始め、ケルト音楽やノイズミュージックなど多岐に渡る演奏とジャンルを超えた作品への参加がこのようなカオスな作品を生み出していると言える。
―――和洋折衷
7．Herbie Mann『Gagaku & Beyond』
「Shomyo (Monk's Chant)」から雅楽特有の歌謡パートから尺八などを用いた日本の楽器と共にベースや鼓が入り、和洋折衷のグルーヴが爆誕している。坂本龍一の『千のナイフ』のように日本をテーマにしつつも西洋音楽っぽさがある。
8．Tim Hecker『Konoyo』
ジャケの意味わからなさもカッコ良い。東京楽所の雅楽アンサンブルとコラボレーションした電子作品。「This Life」から「呼ばれている」感じがする。「In Death Valley」ではもう"世界"に入り込んでしまっている感じがする。静寂と雅楽的なノイズの序破急が感じられる「Keyed Out」。「In mother earth phase」は坂本龍一『async』っぽいアンビエント。ラストは「Across to Anoyo」続編に続くようなタイトル。
9．Tim Hecker『Anoyo』
前作よりも日本的な雅楽モチーフが散りばめられている雰囲気で、響きや間が感じ取れる。「Not alone」とかも山奥を歩いていて黄昏時に急に聴こえてきそうな雰囲気。あの世というよりあの世の近くまで来たような感覚。「You were never」はグリッチっぽく雅楽のノイジーな部分を電子的に模したようなドローンになっている。
10．Matthew Dotson『Tomes』
「I. Excavation- Side A」は響きや間を考えると雅楽っぽく感じられる即興演奏的作品。ジャパノイズの文脈で、雅楽の不協和音的旋律がノイズミュージックと日本の親和性の要素の一つではないかとする記事をどこか見たことがあるが、この作品はそれを感じることができる。電車の音まで聞こえてきてフィールドレコーディング要素もある。「II. Excavation - Side B」はブレイクビーツも相まってIDMっぽい。
以上。
