コロナも明ける前後で自宅時間がほぼ変わらぬ生活をしていたが、今もなお、猛暑で家を出たくねえと自宅で過ごす際、案外クラシカルな音楽はジャズよりも読書に向いている。
1.坂本龍一『El Mar Mediterrani』
1992年バルセロナ・オリンピック開会式のための作品で、チャリティとして自身のギャラを寄付して欲しいと言ったところ、それはできないとのことで、仕方なく1ドルで仕事を引き受けたという坂本龍一のエピソードで語られる本作。20分いかないくらいの長さだが、序破急があって、ピアノやストリングスといったミニマルな落ち着いたシンプルな場面とホーンや打楽器の鳴る盛り上がる場面がある。展開があって面白い。
2.Diego Schissi Doble Cuarteto『Tren』
異世界転生モノのファンタジーな作風。比較的落ち着いた雰囲気の「Tren」ではスタッカートなバイオリンとピアノの掛け合いが素晴らしい。突如として楽章に序破急が構成されているというより、楽章内でプログレッシブに展開がある。「Las Puertas del Cielo」はクライマックスにかけてパーカッションが盛り上がり、ストリングスも陽気になっていく。BGMとして聴くにしては展開がいろいろあって面白い。
3.The Svetoslav Obretenov Bulgarian Choir『Slavonic Orthodox Liturgy』
1944年11月1日に設立されたブルガリア国立フィルハーモニー合唱団の作品。声だけでここまでハーモニーやメロディを形成できるのが凄い。オペラのような雰囲気で、大友克洋の『MEMORIES』みたいなシンフォニックな感じ。
4.Leroy Anderson『The Leroy Anderson Collection』
冒頭「Blue Tango」から聴いたことのある作品ばかりで、謎に運動会で流れていた豪勢な音楽は「Bugler's Holiday」だったかと腑に落ちる。三谷幸喜監督作品のような明るい雰囲気の楽曲が揃う。
5.Mikel Kuehn『Entanglements』
電子音がちらちら鳴る室内楽。不穏っぽくもありながら落ち着く。響きと間と音の共鳴が心地良い作品。即興演奏のような雰囲気でどれも1曲10分程あるが、後半は不穏な雰囲気が無くなり、クラリネットと木琴のサウンドが広がる。
6.Franz Shubert『Schubert: Piano Sonatas (Complete)』
全156曲、約21時間分収録されているので、会社で流すのにも最高の作品。ピアノだけのクラシックは最高に癒される。暗い感じの曲が無く、病院で流れるような安心感と安らぎをもたらすタイプの作品となっている。
7.Louissiné Zakarian『Armenian Medieval Spiritual Music』
アルメニアの女性オペラ歌手。教会音楽とあってバッキングのうっすらと流れるオルガンの音を遥かに上回る声量のソプラノが力強く、癒される。
8.Flore Laurentienne『Volume 1』
ネオクラシカルというジャンルに部類される。「Fleuve No 1」から名盤って感じがするクラシックに、オルガンの音色が素晴らしい「1991」。歯医者とかで流れてたら心安らぐ。シンプルな構成ながら、現代的な雰囲気のあるクラシック。
9.Alfred Schnittke『SCHNITTKE:CHOIR CONCERTO』
タイトルの『合唱による協奏曲』とあるように、声だけでクラシックな響きを奏でている。こういう合唱曲の歌詞を読んでみたいが、20分近くあるような曲でも単なるコーラスではなく何かを歌っているので、意味は分からないものの荘厳な感じは伝わる。
10.Koki Nakano – Ululō
「Trêve」からピアノの音色が響いてクラシカルな雰囲気に惹き込まれるが、「Howling feat.Yael Naim」や「Vertical Pool feat. Wayne Snow」のようなボーカルも良い。
以上。