武満徹さんは「音、沈黙と測りあえるほどに」と言い、ECMレコードの創立者マンフレート・アイヒャーは「静寂の次に美しい音」と言った。アンドレイ・タルコフスキーの映画を思い出しながら外の雨の音を聴いていると、雨音にまさる音楽はあるのかなあと思ってしまったり。そういう気分なのでしょうね。 pic.twitter.com/NBNrgGu29P
— tkmt (@tkmttkmt) 2020年7月3日
☟下記はECMレコードの70年代のサウンドを集めたミックスだ。
ECMレコードとは、1969年にドイツで設立されたジャズレーベルである。レーベルの音作りのコンセプトとして、"The Most Beautiful Sound Next To Silence"「沈黙の次に美しい音」が言及されている。こういったサウンドにおける統一感から、ジャズからアンビエント、現代音楽などのレーベルからリリースされる作品だけでなく、レーベル単位でのファンも少なくはない。
☟下記noteにてそのイントロダクションが記載されているのでこちらも参照いただきたい。
ドイツ、ミュンヘンでManfred Eicherが創設したJazzレーベルのECM Recordsの2009年カタログ。
— Naoyuki Umetsu (@NaoyukiUmetsu) 2023年12月18日
こんなに静かなレイアウトと写真なのに身の毛がよだつようなぞくぞく感は一体なんなのでしょうか。
顧客のために無料配布される印刷物へのこだわりに経営者の魂が宿っている気がします。 pic.twitter.com/Fh3y93OHrw
天野くんがmikikiに書いたECMとヒップホップの記事、知らないことばかりで唸ってしまった。良記事。 https://t.co/kN3DKPYKo0 pic.twitter.com/pDfhtg4ksm
— 阿良々木敦 (@Ami_confusing_U) 2023年11月16日
1.Keith Jarrett『The Melody at Night, with You』
始めの「I Love You Porgy」から優しく美しいピアノで思わず感動してしまう。時折力強いピアノのサウンドが言わずもがな中身を物語っている。
2.Nana Vasconcelos『Saudades』
ブラジルのパーカッショニスト、ナナ・ヴァスコンセロスの作品。冒頭から聞こえるビリンバウという弦楽器の音色からオーケストラのハーモニーが融合してくる。
3.John Surman『Upon Reflection』
テリーライリーさながらのミニマリズムで開始。激しめのジャズと言うより、ミニマリズムの中でサックスが錯綜するようなフリージャズ。煌びやかなシンセのリフも良いアクセントになっている。
4.Eberhard Weber Colours『Silent Feet』
「Seriously Deep」のイントロから天才。プログレみたいな曲の入り方かつ展開。クラシック感あるところも似ているし、長さも20分ほどある長尺。民族的な入りからスタートして後半から普通にジャズになる「Eyes That Can See In The Dark」も良い。
5.Lester Bowie's Brass Fantasy『I Only Have Eyes For You』
ジャズっていうよりもジャズ編成であらゆるスタイルの音楽を演ってる感じ。いわゆる普通のジャズってよりイージーリスニングで聴くようなオーケストラ風。「Coming Back, Jamaica」は完全にダブ。
6.Vijay Iyer, Linda May Han Oh / Tyshawn Sorey『Compassion』
音が鳴っているのに静か。それぐらい音が綺麗。複雑なパーカッションとビル・エヴァンスのような流れる水のようなピアノ。
7.Arve Henriksen『Kvääni』
聴く静寂と言っても過言ではないフリー・インプロヴィゼーション。この作品における静寂の役割が大きく、それ故に各楽器の音色が映えるし、1つの音が鳴っている時はその音の増幅や余韻を背景に新たな音が加わっていくようなスタイル。アンビエントに近いだろうが、メロディアスなものもあり、イヤホンで聴く場合はなるべく小さめの音量で聴きたい。
8.Eberhard Weber『The Colours Of Chloë』
ストリングスとコーラスの目立つオーケストラのような作風。かと思えば「An Evening With Vincent Van Ritz」で途中からトランペットにコントラバス、ハットの目立つドラムが流れ始める。
9.Jan Garbarek - Bobo Stenson Quartet With Palle Danielsson, Jon Christensen『Witchi-Tai-To』
コントラバスの低音グルーヴが癖になる「A. I. R.」を開幕に、「Hasta Siempre」はラテンのようなメロディを歌い上げるサックスが熱いジャズ。打って変わって「Desireless」はピアノとハイハットが際立つ。
10.Ralph Towner, Eddie Gomez, Jack DeJohnette『Batik』
「Waterwheel」から躍動するドラムのビートとギターのラテンチックな音色が最高。打って変わってノンビートでデレク・ベイリーのような「Shades Of Sutton' Hoo」。
以上。