気分が滅入ってる時に聴く音楽として良いものはないか、毎回プレイリストで気分が上がるような曲選を心掛けているが、その時の気分に当てはまるピースのような曲をその中から選ぶのでも難しい。
中原昌也が「バッハはそこに意味が無いからフラットな気持ちでいられる」と言っていたが、そのような音楽はそうそうない。
1人とぼとぼ歩きながら中田裕二の『DOUBLE STANDARD』を聴いていたら無性に悲しくなってきた(中田裕二をディスってるわけではなく、アルバムの雰囲気がダウンテンポでしんみりしたものが多かったため)。中田裕二の曲って安全地帯のようでありながらブラックの色も感じることがあってカッコイイが、さびしい気分の時はまずい。
個人的な見解として、まずその負の感情が"怒り"なのか"悲しみ"なのかで聴く曲の基準が変わるが今回は後者基準で選ぶ。
アルバム単位の基準としては、
- 感情的でない(感情がうるさくない)曲が多い
- アルバム全体でのテンションの起伏が激しくない
が主な基準となる
以下に挙げるのは、独断と偏見によったものだが、もともとヘビーリスナーでは無い人間が純粋に曲を聴いてこのアルバム神と思ったものを挙げることにする。
1.PANTA & HAL『マラッカ』
ブルース的というか、どんより暗いフォークソングというわけではないが、とびぬけて明るいわけではない。頭脳警察のボーカルだが、本作はニューウェーブっぽくテンションもくどくない。くどくない中年の先輩上司とダル絡みしながら飲みに付き合うような雰囲気。悪い気はしないぜ。
2.米米CLUB『LAST BEST 〜豊作参舞〜/米米CLUB』
たまたま気になって購入した入門編として挙げがちなベスト盤だが、アルバムを全て通して祭りのような騒ぎである。比較的アップテンポな曲が多いが祭りに参加しているような雰囲気で孤独な感情が和らいでいく。「浪漫飛行」「君がいるだけで」だけじゃないし、名曲揃いなのに気付かされる。そして聴いていると洋楽のオマージュのようなパートが随所に見られ、コメディ色に富んでいる。米だけに。
3.COMPLEX『COMPLEX』
なんだろう、ユニコーンとかジュンスカとかこの年代のロックの雰囲気が最高なのか、Pretty Dollから引き込まれる。
単なるガチャガチャしたロックではなくデジタル色が加わっているところもいいエッセンスになっている気がする。途中Can't Stop The Silenceでシリアスな気分になるが、BE MY BABYにたどり着くまでには気分は凪状態に安らいでいる。
俺はにわかなのでBE MY BABYしか知らなかったが、かなり全曲通して好き。
4. 暴力温泉芸者『Que Sera, Sera (Things Go From Bad To Worse)』
個人的に、アルバムにいろんな好きなアーティストが参加してパーティみたいになってるやつが最高で、このアルバムもそんな感じだ。でもって、チープなクオリティで作れそうな感じなのが良い。パーティってか宅飲みって印象。これはノイズミュージックと評されるものだが、サンプリング色が強く聴きやすい。カバー曲もガバガバだし、気分がクソな時に聴くと最高。
5. ツチヤチカら『ピタゴラス』
各曲タイトルを見ただけで最高だと思わせる一作。金玉ネタが多く、何も考えず小学生のようなバカなノリで聴くことができるし、気分も晴れる。鎮座DOPENESSとコラボした「金玉CITY JUNGLE」然り、DIY的なビートがカッコいい。1曲1曲が短く、展開が多いので飽きない。
6.Dr. John『Desitively Bonnaroo』
全体的にローテンポなファンク。夕陽が窓に差し込んで来るくらいの時間帯に「Me Minus You Equals Loneliness」のようなゆったりした曲を聴きたい。「Mos' Scocious」のイントロからのリフがカッコ良い。
7. Brian Wilson『Smile』
ビーチ・ボーイズっぽいのか?
全体的に明るく、気分が落ち込む隙を見せない。テンポも激しくないのでリラックス出来る。全部同じように聴こえてしまうが、ディズニーやジブリのようなメルヘンの世界に誘われる。そのまま眠りにつきそうなぐらい落ち着けるので安眠BGMとしても良さそう。
後半若干不安になるメロディ「Mrs.O'Leary's Cow」が出てくるあたりはビートルズっぽい。
8. Omar Souleyman『Wenu Wenu』
初手の「Wenu Wenu」から最高だと実感する。"ダブケ"と呼ばれる中東の伝統舞踊をダンスミュージックに昇華したもので、シリアン・テクノなるコアなジャンルらしい。楽器のミジュウィズがもうホント最高。音色が新しい世界に引きずり込んでくる。
9. The Clash『London Calling』
パンク、ロック、レゲエを感じさせる全体的なメロディが明るい気持ちにさせる。ハード・ソフトの加減が程よくて、聴いていても疲れない。程よいポジティブさをキープしながら聴き通せる。
10.盆踊りのベスト盤
思い付きで買ったアルバムだが、やはり最高。
夏祭りの高揚感・和食の料亭のようなトリップ感(旅行)がある。というよりそれを疑似的に味わいたいことから購入したのだが、聴きなじみのある東京音頭は本当にアンセム。
日本語なのに何も考えずに聴けるのと、ネガティブな気分には絶対にならないのが良い。古き良き伝統音楽ってやっぱポジティブとかネガティブではないし、こういう曲で昔の人は鼓舞していたわけだから当然今聴いても最高なわけだよな。
以上。